ある天文学者の恋文


 2020.6.26      恋文をIT化【ある天文学者の恋文】

                     
ある天文学者の恋文 [ ジェレミー・アイアンズ ]
評価:3

■ヒトコト感想
高齢の学者エドと学生のエイミーの恋物語。冒頭からエドとエイミーがPCのモニター越しに会話をする。かなり歳の離れたカップルだというのがわかる。エイミーは嫉妬深いがエドは大人の余裕を見せている。常にSNSやモニター越しで連絡をとりあっているのがポイントだ。

ある日、エイミーの目の前でエドが死んだということを別の教授から知らされる。エドは自分の死を予期し、エイミーにさまざまな仕掛けを残していた。IT機器が当たり前の現在であれば、いくらでも仕掛けはできるだろう。エイミーが知らない間に、周りの人の協力でエイミーには時間差でメールや録画した映像が送られてくる。エイミーはエドのメッセージからエドの過去を知る。。。

■ストーリー
著名な天文学者エドと彼の教え子エイミーは、皆には秘密の恋を謳歌していた。しかし、そんなエイミーの元に突然届いたエドの訃報。現実は受け入れられないエイミーだが、彼女の元にはその後もエドからの優しさとユーモアにあふれた手紙やメールや贈り物が届き続ける。エドの遺した謎を解き明かそうと、エイミーは彼が暮らしていたエディンバラや、かつて二人で時間を過ごしたイタリア湖水地方のサン・ジュリオ島などを辿りはじめ、そこで彼女が誰にも言えずに封印していた過去を、エドが密かに調べていたことを知るが―。

■感想
まるで上質なミステリーのように、エイミーに死んだはずのエドからの謎がふりかかる。エイミーの元にDVDが送られてくる。そこにはエドからのメッセージが入っている。高齢の彼氏といことでエイミーはある程度覚悟をしていたはずだが、エドに状況を知らされていなかったことに怒りを感じてしまう。

エドが残した謎を解き明かそうとエイミーはエドの故郷や二人の思い出の地を訪ねる。ここでも、エドは自分の死んだ後のことを考えており、さまざまな仕掛けを用意している。

エドの弁護士や同僚がエイミーに対してメッセージを送る。それらは全て生前のエドが用意していたことだった。IT機器が進化した現在であれば、エドのような仕掛けは可能だろう。さらには、故郷にエイミーがやってきた場合にどのような行動をとるかまでも、なじみの人に伝えておく。

定宿としていたホテルの従業員に対しては、エイミーが何回訪ねてきたらこの手紙を渡せみたいなことまで用意している。かなりエドはエイミーの性格を含めて理解した上での仕掛けを作っている。

勝気なエイミーは、エドの謎に怒りつつも、エドの真意を理解して涙する。強烈なのは、エドがエイミーにメッセージを残すためにビデオカメラで自分を撮影しているのだが、その失敗テイクが残されていた部分だ。

エドは自分の死期を察知し、エイミーにこんなメッセージを残さずにいられない自分を悲しく思い、撮影がうまくいかない。ここまで細かく仕掛けた仕組みがうまくいくだろうか、という疑問はあるが、昔であれば手紙だったことがすべてITで瞬時にできることにより成立する物語だ。

恋文もIT化している。



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