アリスのままで


 2018.12.22      遺伝性アルツハイマーの恐怖 【アリスのままで】

                     
アリスのままで [ジュリアン・ムーア]
評価:3

■ヒトコト感想
若年性アルツハイマーを発症したアリスの物語。言語学者としての仕事も充実し、3人の子供たちも立派に育てあげた女性が現実に苦悩する。衝撃的な展開としては、遺伝子の問題で発症したということで、遺伝する可能性があるということだ。そのことを伝えるアリスの心情はすさまじい状態だろう。

3人の子供の中で次女のリディアの状況が気になる中で、次第にアリスがアルツハイマーの症状をみせてくる。一番辛いのは、半分正気の状態で健忘症の症状が見えるのはつらい。トイレの場所がわからずに漏らすなんてのは、通常の感覚でいる場合はつらいだろう。アリスが自分の先を考え、メッセージを残す場面も強烈なインパクトがある。

■ストーリー
50歳のアリスは、まさに人生の充実期を迎えていた。高名な言語学者として敬われ、ニューヨークのコロンビア大学の教授として、学生たちから絶大な人気を集めていた。夫のジョンは変わらぬ愛情にあふれ、幸せな結婚をした長女のアナと医学院生の長男のトムにも何の不満もなかった。

唯一の心配は、ロサンゼルスで女優を目指す次女のリディアだけだ。ところが、そんなアリスにまさかの運命が降りかかる。物忘れが頻繁に起こるようになって診察を受けた結果、若年性アルツハイマー病だと宣告されたのだ。その日からアリスの避けられない運命との闘いが始まる―。

■感想
有名な言語学者が遺伝子性の若年性アルツハイマーを発症する。学者がアルツハイマーになるのはかなり辛いだろう。最初は自分がアルツハイマーだと信じたくない気持ちが強く、自分で記憶力が確かなことを確認したりもする。それでも、医者から決定的な真実を告げられる。

アリスが自分の状況を受け入れるまでには時間がかかるのだろう。夫に対して告げた際にも、アリス自信のショックが大きいように見える。子供たちからしても、自分の自慢の母親がアルツハイマーというのはショックでしかない。

アリスが完全に若年性アルツハイマーだと認識したあとには、子供たちの心配もする。遺伝子の問題があり、子供にも遺伝する可能性は50%。もし遺伝していたとしたら、発症は100%らしい。かなり強烈な状況だ。もし自分の子供にも遺伝する可能性があるとしたら…。

もし子供を産む前にわかっていたとしたら、躊躇すべき状況だろう。アリスは父親からの遺伝で子供にも一部遺伝していた。アリスが子供たちに対して謝る場面は、非常に心が痛くなる場面だ。

アリスは自分の末期の状況を想定して自分に対してメッセージを残していた。それが、アリス自身が自殺をするための方法だった。アルツハイマーが悪化し、正常な判断力がなくなり、子供のような状態となったアリス。それを見越して、懇切丁寧に薬の場所を指示してアリスを自殺させようとする。

この場面を見たときに、自分ならばどうするかと思わず考えてしまった。もしかしたらアリスと同じように、正常な判断力が保たれないのならば、同じ決断をするかもしれない。

若くしてアルツハイマーになるのは辛いことだ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp