アメリカン・スナイパー


 2018.9.13      伝説的スナイパー 【アメリカン・スナイパー】

                     
アメリカン・スナイパー
評価:3

■ヒトコト感想
実在した伝説的なスナイパーであるクリス・カイルを描いた作品。イラクで米兵を守るために市街地の屋上からスコープを覗き、米兵に攻撃を加えようとするイラク人を射殺する。それは、相手が子供であっても自爆テロを行う兆しがあれば容赦なく攻撃する。あまりに敵兵を狙撃し続けたため、相手から懸賞金がかけられたりもする。

映画作品としての演出なんだろうが、イラク側にも元オリンピックの狙撃手がいたりと、緊迫感あふれる展開がある。クリスのスナイパーとしてのすぐれた部分とは別に、戦地で戦い続けると人はどうなっていくのかも語られている。実はこっちの方が衝撃度は大きい。伝説としてあがめられてはいるが、その光と影があますことなく描かれている。

■ストーリー
米軍史上最多、160人を射殺したひとりの優しい父親。観る者の心を撃ち抜く、衝撃の実話。国を愛し、家族を愛し、戦場を愛した男――。描かれるのは伝説のスナイパー、クリス・カイルの半生。2003年にイラク戦争が始まってから4回に渡り遠征。

その常人離れした狙撃の精度は1.9km向こうの標的を確実に射抜くほどだったという。公式記録としては米軍史上最多の160人を射殺。味方からは「伝説の狙撃手」と英雄視される一方、イラクの反政府武装勢力からは「ラマディの悪魔」と怖れられ、その首には2万ドルの懸賞金がかけられた。

しかしカイルの素顔は、命がけの壮絶な局面でも仲間を一心に守りたい、そして良き夫、良き父でありたいと願うひとりの男。戦争の狂気に取り憑かれつつ、故国で待つ家族をこよなく愛する主人公の光と影を生々しく掘り下げる。

■感想
伝説のスナイパーの生きざまが描かれた本作。見終わってクリスが実在したということに驚いた。そして、その結末にも驚いた。伝説的なスナイパーがどのような思いで敵を狙撃し続けたのか。イラクで海兵隊を守る正義のスナイパーとしての描かれ方は、わかりやすいヒーロー像だ。

傷ついた兵士をかばいながら、適切な判断で敵を狙撃する。それがたとえ幼い子供であったとしても、米兵に向かって爆弾を抱えて走りだすと容赦なく狙撃する。1.9KM先の標的を射抜くそのずば抜けた射撃力は驚愕でしかない。

ヒーローとしての光の面と、戦地から家族の元へ戻ってきてからの陰の部分も描かれている。よく戦争帰りの兵士がトラウマでおかしくなるというのがある。本作でもクリスはその状態に陥っていたのだろう。夜暗い部屋の中で、米兵が狙撃される映像を見続けたり。

たとえ敵だとしても100人以上の人を狙撃し続ければ精神的におかしくなるのは当然だろう。逆に平常心でいられるのが異常だ。そんなクリスは、まるで死に場所を求めるように、何度も戦場へと足を運ぶ。

物語を面白くするために、イラク側にも元オリンピック選手の射撃の名手が登場する。長距離から米兵を狙撃し続ける存在。クリスは相手を追い詰め、最終的には超長距離から狙撃することに成功する。戦場での緊迫感あふれる射撃合戦というのはすばらしい。

そして、一歩間違えれば死が目の前に迫っているという状況もよく理解できた。今まで、アメリカ軍はミサイルを撃ち込むだけかと思っていたが、泥臭い市街地戦をやっていたのだと驚いた。それにしても、スナイパーの射撃描写はすさまじい迫力がある。

実在する人物だということに驚かずにはいられない。



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