オール・ザ・ウェイ JFKを継いだ男


 2018.9.9      ジョンソンの功績 【オール・ザ・ウェイ JFKを継いだ男】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
JFKが暗殺され、大統領に就任したジョンソン。ジョンソンがどのような思いで公民権法を成立させたかが描かれている。ほぼ政治的な駆け引きに終始している。裏取引は当たり前、あちらを立てればこちらが立たずの状態が続いている。特に黒人の権利を勝ちとるために活動しているキング牧師とのやりとりは秀逸だ。

選挙に勝つためには黒人の支持を得るべきか、それとも地元である南部の支持を優先すべきか。その他にも、大統領として決断を迫られる場面が多数ある。とんでもなく責任の重い大統領という職務。当然ながら、ジョンソンのイライラは妻や周りの者に当たり散らすという形ででてくる。ジョンソンは純粋にアメリカ国民のためを思って差別をなくすために公民権法を推進したのだろう。

■ストーリー
リンドン・ジョンソンがJFK暗殺の直後に大統領に昇格してから、翌年の大統領選で当選するまでの347日を描いた実話ドラマ。当時副大統領だったリンドン・ジョンソンが、JFK暗殺によりエアフォース・ワンで大統領就任宣誓を行ってから、翌年大統領選で当選するまでを描いた実話ドラマ。

■感想
歴史的な知識があまりない状態で見た。ジョンソンの印象はベトナム戦争を拡大したという印象しかない。本作で描かれているのは、ケネディがなしえなかった公民権法をジョンソンがその政治生命を賭けて必死にとりくんだということだ。

キング牧師とのヒリつくような駆け引きと、他の有力政治家や地元の有力者とのやりとりは秀逸だ。常にひとつの正解があるわけではない。ひとつの選択を間違えると、それで政治家生命が終わる可能性すらある。そんなストレスフルな状況で、神経質となるジョンソンが描かれている。

大統領に安息の時間はない。夜中だろうが一大事が起きればたたき起こされる。相談相手はいるのだが、最終的に決断するのは大統領であるジョンソンだ。ジョンソンが推進していた公民権法が、その当時ではどれほど困難なことなのかも描かれている。

ひとりの思い切った人物の存在なしでは、大きな変化はおとずれないのだろう。結果論ではあるが、ジョンソンの決断の中にも間違ったものはある。ベトナムへの空爆などはその良い例なのだろう。ひとりの政治家が苦悩する場面がこれでもかと描かれている。

物語は終始、会話と電話で描かれている。政治家には裏工作が最も大事だと思わせるのには十分な流れかもしれない。ジョンソンは信念を曲げることなく、ただひたすら自分の信念を元にまっすぐに進もうとする。

黒人差別をなくすという大きな意義が、下手すると、ただの選挙の道具としてしか見えなくなる危険性すらある。終盤はさらりとしており、キング牧師のインパクトある演技は、後半は微妙になっている。歴史を深く学んでいれば、また違った印象をもつのかもしれない。

ジョンソンという大統領の功績がよくわかる作品だ。



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