アディオス!ジャパン 日本はなぜ集落したのか 


 2019.3.25      日本を憂う社会派エッセイ 【アディオス!ジャパン 日本はなぜ集落したのか】

                     
アディオス! ジャパン [ 真山 仁 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
作者の日本を憂うエッセイ集。社会派なテーマのエッセイ集のため、作者の人となりがわかるわけではない。作者の作品にリンクしたようなエッセイが多い。総じてエッセイの内容としては、日本を心配する内容となっている。世界に目を向けているエッセイもあるが、日本を絡めている。昔と比べて日本はどうなっているだとか、今の危機的状況をどう打開するかなど。このまま行くと日本はどうなってしまうのかという内容と、作者独自の見解がエッセイとしてまとめられている。

銀座の地価の話や、沖縄の教育の話など、非常に興味深いエッセイもある。ただ、全体を通してお堅い内容となっているので、軽いエッセイを想像すると、読みすすめるのは厳しいだろう。

■ストーリー
著者自ら震災被災地や沖縄、阪神工業地帯など国内外を歩き、独自の視点で日本の危機的状況の原因を探る。我々が生き残る術を提起する意欲作。

■感想
「ビバ!富士山」は、富士山を登山する外国人の状況を見て作者が感じたことが、エッセイとして描かれている。外国人が富士山に登る際には、三千メートル以上ある山に登る装備ではないらしい。確かに、外国の旅行者は軽装なイメージがある。

短パンにTシャツだとか、そこまでいかなくともジーンズにスエットのような恰好で富士山に登る外国人もいるだろう。その他には、中国の観光客が富士山の五合目で爆買いをしていたり。ただ、それも良いのではと思えるのは確かだ。

「沖縄は可哀そうな場所なのか」では、沖縄の学生の偏差値が全国一低いということに触れられている。そこには、勉強を頑張ることがカッコ悪いという風潮があるようだ。沖縄の人々ののんびりとした性格もあるのだろうが、かなり衝撃的な内容だ。

そんな状態であれば、沖縄の学生が進学し本土で生活する場合に、周りの変化に驚くだろう。何かの番組で、沖縄の中学生が自分の住所を書けないとあったが、まさにそうなのかもしれない。非常にショッキングな内容だ。

「銀座でお金の重みを考える」では、日本一地価が高い銀座の一等地からお金の価値について語られている。ただ人が多く行き来するだけの場所だから地価が高い。そこには金銀財宝が埋まっているわけでもなく、特別な温泉が湧き出るわけでもない。

もし、銀座の地価に大量のウランが埋まっており、放射能に汚染されているとわかれば、その瞬間、価値はゼロになる。土地の価値というのは、崩れずらいと言われてもそれは幻想でしかない。架空の何かに高い価値がついているような気がした。

社会派エッセイ集だ。



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