JSA


 2021.3.12      韓国と北朝鮮の兵士たちの束の間の友情【JSA】

                     
JSA /パク・チャヌク
評価:3.5

■ヒトコト感想
韓国と北朝鮮の共同警備区域(JSA)での物語だ。境界線の向こうには相手国の兵士がいる。戦争状態に近い隣国の境界線での独特な緊迫感のある場所だ。冒頭、JSAで韓国の兵士による北朝鮮兵士の銃撃事件が起こる。その事件を調査するのは中立であるスイスの女性将校ソフィー。

生き残った北朝鮮と韓国のそれぞれの兵士から事情聴取を行うのだが…。ここから、8年前にさかのぼる。序盤ではまさに藪の中のようにそれぞれの証言の不透明さから事件の真相はわからなくなる。8年前に偶然、地雷を踏んでしまい立ち往生していた韓国兵士を北朝鮮の兵士が助けたことから交流が始まり、誕生日を祝いプレゼントを渡すまでの仲となる。そんな4人がなぜ殺し合いにまでなったのか。。悲しい結末は衝撃的だ。

■ストーリー
南北分断の象徴である38度線上の共同警備区域(JSA)で起こった射殺事件。陳述書には南北で全く異なる報告が記されていた。そして両国家の合意のもと、捜査は中立国監督委員会の手に委ねられ、韓国系スイス人である女性将校・ソフィーが派遣される。彼女は事件の当事者達と面会を重ねながら序々に真相に迫っていくが、そこには全く予想外の「真実」が隠されていた・・・・。

■感想
JSAで起きた衝撃的な銃殺事件。それぞれの国での思惑が働く。序盤では38度線での攻防を描くシリアスな戦争モノかと思った。事件の真相を明らかにするために、中立の女性将校ソフィーがやってくる。韓国の兵士と北朝鮮の生き残りの兵士のそれぞれの言い分が異なっている。

真実はどこにあるのか。韓国の兵士に事情聴取をしていると、突然ひとりの兵士が自殺未遂を行う。この時点では何が起きているのかわからない。自殺するほど隠したい秘密とは何なのか。俄然物語への興味が高まっていく場面だ。

時は8年前に戻る。そこで、韓国の兵士と北朝鮮の兵士の偶然の出会いがあり、そこから韓国の兵士が北朝鮮の兵舎にまで忍び込むことになる。ここから、まさに戦争をしている2国間の兵士でありながら、親友のようにお互いが仲良くなる。

北朝鮮の兵士にチョコパイや韓国の最新の音楽を提供したりもする。このあたりの場面では、お互いの孤独感や国同士のいさかいなどを抜きにした、本当に楽しそうに親友と交流しているような雰囲気となる。元は同じ民族なので、それぞれの国の事情により敵対しているだけ、というのをお互い理解している。

親密な関係からどのようにして銃殺事件へ至ったのか。結局は、ひとつのきっかけにすぎない。場所が北朝鮮の兵舎であり、北朝鮮という国がどんな国なのか理解しているだけに、別の北朝鮮の兵士に韓国の兵士がいることを見られたらどうなるのか。。。というのを想像しながら見ていたのだが…。

想像どおりの結果となった。その日が、北朝鮮の兵士の誕生日を祝っていた場なだけに、より物悲しい雰囲気となる。ラストでは尋問を受けた兵士が、自責の念にかられて…。悲しい結末となる。

序盤から最後まで目が離せない作品だ。



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