99歳まで生きたあかんぼう 


 2021.6.7      幸せな一生をすごした男の人生 【99歳まで生きたあかんぼう】

                     

評価:3
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■ヒトコト感想
一人の男の0歳から99歳までを1歳あたり2ページで描いている。幼少期から青年期、そして、後半では主に家族のことと、自分自身のことが描かれている。主人公の国籍は特に明言されていない。ただ、生まれ育った国ではなく海外で料理人として修業し成功したというのがわかる。

レストランのシェフとして成功したとしてもオーナーの経営方針と合わないため、独立し貧乏になったりもする。いちから自らがオーナーとして成功する。そこからは子供の話あり、家族の話などに続いていく。レストランの支店を展開し、一番弟子が娘と結婚したりと一族が大きくなりつつある。ラストでは曾孫が産まれるまでになる。人の一生を読まされているようで妙な感動がある。

■ストーリー
一人の男の、0才から99才までをつづった一大叙事詩。年齢、性別、人種、宗教を超え、百年のいのちの輝きを描いて、著者の祈りが心を打つ感動作。

■感想
主人公の素性をはっきりとさせないことに意味があるのだろう。作者は誰でも共感できるようにということで0歳から99歳までを細かく描いたのだろう。確かに自分の年齢のページでは自分とのちょっとした比較をしてしまいがちかもしれない。

生まれてすぐは何もわからない。そこから自分を認識し始め、他者との違いに気づく。学生時代にはグレることもある。そして、犯罪を犯して少年院に入れられてしまう。何か少年時代の過ちはすぐにでも取り返すことができる、やり直しは可能だと言いたいような流れだ。

料理人の修行時代は、そこから料理人としての核となる考え方が描かれている。他の人よりもほんの少しだけ努力する。その努力の積み重ねが成功につながる。人よりも少しだけ遅くまで仕事をし料理人としての努力を怠らない。

その姿を誰かが見ており、その努力はのちの成功へとつながっていく。作者は、誰でもほんの少しの努力を継続することにより、誰もが幸せになれると言いたいのだろう。たとえ、少年時代に過ちを犯したとしても、そこで終わりではない。料理人という職業も実力主義というのがポイントなのかもしれない。

結婚し子供が産まれ、一時期はオーナーともめて独立し貧乏になったとしても、努力を怠らないことで最後には成功する。そして、究極の料理としてできるだけ調味料を使わない自然な素材の味を活かす料理にたどり着く。

この流れというのがすばらしい。娘や息子は一番弟子と結婚したり、息子に支店を任すなど一族ですばらしいレストラン経営を実現している。すべてが順調にいきすいている。そして、孫が産まれ孫が結婚し、曾孫が産まれたりもする。まさに晩年の人生としてはこれ以上ないほどの幸せ具合だ。

ラストは一族に囲まれて死ぬという理想的な展開だ。



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