三度目の殺人


 2018.12.25      弁護に真実は必要ない 【三度目の殺人】

                     
三度目の殺人 [ 福山雅治 ]
評価:3

■ヒトコト感想
前科のある三隅が強盗殺人を犯した。そんな三隅を弁護する弁護士である重盛目線での物語となっている。単純な事件のはずが、三隅は何かを隠している素振りがある。三隅が強盗殺人を認めたため、争点は量刑の重さが争われることになる…。死刑になるのか無期懲役なのか。重盛が弁護をしていく過程で、新たな事実が見えてくる。

三隅がどうにも投げやりで、人生なんてどうでもよいと考えているように思われる。そんな状態にもかかわらず、何かをひた隠しにする。弁護に真実は必要ないと思っていた重盛だが、あえて真実を探ろうとする。被害者の娘である咲江が裁判に絡んでくるあたりから、ジェットコースターのように事態は変化していく。

■ストーリー
それは、ありふれた裁判のはずだった。殺人の前科がある三隅(役所広司)が解雇された工場の社長を殺し、火をつけた容疑 で起訴された。犯行も自供し、死刑はほぼ確実だった。その弁護を担当することになった、重盛(福山雅治)。裁判をビジネス と割り切る彼は、どうにか無期懲役に持ちこむために調査を始める。 何かが、おかしい。

調査を進めるにつれ、重盛の中で違 和感が生まれていく。三隅の供述は会うたびに変わる。動機さえも。なぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか? 得体のしれな い三隅に呑みこまれているのか?弁護に真実は必要ない。そう信じていた弁護士が、初めて心の底から真実を知りたいと願う。 やがて、三隅と被害者の娘・咲江(広瀬すず)の接点が明らかになり、新たな事実が浮かび上がる---

■感想
三隅の弁護を受けもつことになった重盛。三隅の利益だけを考え弁護する。単純な強盗殺人から不倫が絡んだ依頼殺人へと流れを変えようとする。このあたり、弁護士の本性というか、法廷で勝ためにどのような行動をとるかが描かれている。事件の真実はどうでもよい。

三隅の利益になるようにストーリーを作り上げ、それに当てはまるような証拠集めをする。検察が手厳しい言葉を重盛にぶつけるが、重盛はどこ吹く風。ひたすら自分のポリシーを貫く行動をとる。

そんな重盛も、のらりくらりと何かを隠しながら証言する三隅に対して違和感をもつ。ここで被害者の娘である咲江が物語に絡んでくる。三隅と咲江の関係。三隅は被害者の妻と関係があったかと思われていたのだが…。咲江の告白から真実が別のところにあると気づく重盛。

ただ、ここでも三隅はのらりくらりと証言を変え始める。突然、殺していないと言い始め、法廷は混乱する。弁護士の作戦から外れたことをやる三隅。裁判は心象というのがものすごく重要だというのがよくわかる場面だ。突然証言を変えるのは、反省していないとみなされ、量刑も重くなるようだ。

咲江が被害者であり父親に幼いころからレイプされたと告白する。ここで三隅が自分のためではなく他人のために殺しを行ったとわかる。ただ、ここでも三隅は咲江が裁判でさらし者になることを危惧し、突然証言を変え咲江が出る隙をなくしている。

重盛はそのことに気づきながらも、三隅が望むならばと受け入れるしかない。作中では、重盛は純粋に裁判に負けたという描かれ方をしているが、三隅と同様に死刑になることは覚悟しての弁護だったのだろう。

三隅の飄々とした態度が、全てを物語っていたような気がした。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp