16歳の合衆国


 2018.11.14      少年は何を思い凶行にいたったのか 【16歳の合衆国】

                     
16歳の合衆国
評価:2.5

■ヒトコト感想
平凡な少年のリーランドが、仲の良い障碍者のライアンを刺し殺してしまった。なぜリーランドはライアンを殺したのか。物語はリーランドの過去と現在が交互に描かれている。リーランドの恋人であるベッキーの弟でもあるライアン。リーランドは繊細な表情をし、ライアンを殺害した後の少年院での出来事も描かれている。リーランドがなぜライアンを殺したのかが、さかのぼる形で描かれている。

その後の少年院での生活で、リーランドの事件を本にしようと考える者もいる。様々な思惑が交錯する中で、リーランドに対して第二の事件が発生する。非常にショッキングな結末となる本作。リーランドの不安定な心境がこれでもかと描かれており、周りもそれに強く影響されている。

■ストーリー
16歳の平凡な少年リーランドは、ある日突然、障害者のライアンを刺し殺してしまう。ライアンはリーランドの恋人、ベッキーの弟だった。なぜ、少年は殺人を犯したのか――? 繊細さゆえに世の中にあふれる“哀しみ"に耐えきれず心を固く閉ざした少年と、苦しみ、悩み、少しずつ小さな罪を犯しながら生きていく人々。そして、第二の悲劇もまた、唐突に訪れる。

■感想
リーランドがどのようにしてライアンを殺害したのか。リーランドが凶行に至る過程が描かれており、続けてその後のリーランドの状況が描かれている。世間を騒がす事件を起こしたリーランドに対して、少年院の担当教官はリーランドの件を本にしようとする。

そのことに気づいた有名作家であるリーランドの父親は、裏から手をまわし担当教官を外させようとする。リーランドを取り巻く環境は特殊だ。ごく普通の16歳のように恋愛し友達とも過ごす。ただ、どこか心に埋めきれない何かがあるような雰囲気がある。

リーランドの彼女のベッキーは、個人的な問題は抱えているにしても、リーランドとの仲は問題ない。それが知的障害がありベッキーがかわいがっていた弟のライアンを、リーランドが殺害したことに強烈なショックを受ける。

ベッキーからしたら信じられない状況なのだろう。リーランドとライアンの間で何かいざこざがあったのか、それとも…。リーランドの凶行はあらゆる人たちを混乱におとしいれている。リーランドの両親は当然として、ベッキーの両親も相当なはずだ。

世間的に話題になった事件であり、リーランドの状況は複雑だ。そして、ベッキー兄弟と関係の深い男がある行動を起こす。ラストの事件は衝撃的だ。リーランドがなぜライアンを刺殺したのかは描かれているのだが、それが誰もが納得できるものではない。

繊細な16歳だから、人の悲しみを勝手に思い、その悲しみに勝手に共感し行動を起こす。この強烈な行動にどれだけの人が共感できるのだろうか。固く心を閉ざした少年は解放されるだろうか。

青臭い少年だからという理由での行動にしては違和感がある。



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