ゼロ・グラビティ


 2016.9.12      強烈にリアルな宇宙空間 【ゼロ・グラビティ】

                     


■ヒトコト感想
今まで数々の映画作品を見たが、宇宙空間の描写がこれほど詳細に描かれた作品はないだろう。事故により無重力空間に投げ出された宇宙飛行士を描いた作品だ。宇宙飛行士のマットとライアンのみが生き残った状況で、どのようにして地球に帰還するのか。無重力状態で体勢を維持することの難しさや、移動の困難さがこれでもかと描かれている。

宇宙空間では少しのズレが致命的となる。マットにしがみつきながら宇宙ステーションへとたどり着く際も、まるで振り子のようにあっちへフラフラこっちへフラフラと移動し続ける。慣性の法則とわかってはいても、手に汗握る場面だ。八方塞がりで絶望的な状況であっても、決して諦めることなく前向きにチャレンジする。非常に感動する作品だ。

■ストーリー

突発的事故により無重力空間に投げ出された宇宙飛行士の極限状況を描いたスペースサスペンス。ライアン博士と宇宙飛行士・マットはシャトルでミッションを遂行していたが…。

■感想
広大な宇宙空間でふたりだけが生き残ったマットとライアン。マットが落ち着き払った口調で前向きな言葉を続けるのが強く印象に残っている。自分たちが地球に生還するためには、どのようなことをしなければならないのか。ソユーズに乗り込み、そこで中国の宇宙ステーションへと向かい地球に帰る。

すべてがうまくいく保証はない。途中、激しいアクシデントがあったとしても軽口をたたきながらライアンを落ち着かせようとするマット。人は危機に直面するとパニックになりがちだが、マットのように落ち着いて前向きな思考になれるのが本当に能力のある人間なのだろう。

ライアンが生き残るためにとる行動は、はたから見ているとハラハラドキドキしてくる。残りの酸素があとわずかで、フラフラと揺れながらソユーズにたどり着く。宇宙空間の不思議というか、重力がない空間では勢いを殺す術がなく、たどり着いたとしてもそこに入るために苦労する。

なんとかソユーズにたどり着いたとしても、ソユーズが中国の宇宙ステーションに行くまでの燃料がない。絶体絶命のピンチにおちいりながらも、ライアンは希望を捨てることはない。

終始地球へ帰還するための作業をひたすら見せられているという感じだ。が、あきることはない。宇宙空間で行動するとどのような状況になるのか。ライアンがソユーズから脱出し、中国の宇宙ステーションへと移動する手段は衝撃的だ。

どうにかして体勢を整え、そして、大気圏へ突入しかけている宇宙ステーションへ入り込む。全編ほぼ、ひとりか二人の会話がメインとなる本作。ヒューストンとの通信が早々と途切れることから静かな状況となるのだが…。すさまじいリアル感で目が離せなくなる。

無重力空間のすさまじさを感じずにはいられない作品だ。



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