雪煙チェイス 


 2017.12.26      スノボファン限定ミステリー? 【雪煙チェイス】

                     
雪煙チェイス (実業之日本社文庫) [ 東野圭吾 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
東野圭吾のスノボ小説。相変わらずスノボ愛が伝わってくる作品だ。今回は、殺人事件の容疑者とされた男がアリバイを証明するため、スノボ美女を探す物語だ。状況証拠から容疑者とされた竜実。逃げずに正直に話をすれば、冤罪は晴れると思うのだが…。作中の大学生たちは、なぜかそのあたり悲観的で、逃げ出してアリバイを証明してくれる美女を探すことに心血を注ぐ。

竜実を追いかける警察。スノボ美女を追いかける竜実。そして、スキー場ではウェディングの演出が練習されている。作中ではパウダースノーを滑ることの快感が語られている。これらはスノボ経験者しかわからない感覚だろう。自分もスノボをやるので、作中の描写には共感できるところが多々ある。

■ストーリー
殺人の容疑をかけられた大学生の脇坂竜実。彼のアリバイを証明できる唯一の人物―正体不明の美人スノーボーダーを捜しに、竜実は日本屈指のスキー場に向かった。それを追うのは「本庁より先に捕らえろ」と命じられた所轄の刑事・小杉。村の人々も巻き込み、広大なゲレンデを舞台に予測不能のチェイスが始まる!

■感想
スノボミステリー小説。基本は容疑者となった竜実がアリバイを証明するためスノボ美女を探し出すという、ただそれだけの物語だ。ミステリーとスノボは関係ない。スノボならではの部分もあまりない。ウェアが分かっていても、その本人を見つけ出すことの苦労が描かれている。

スノボの元プロ選手であっても、現役を退くとその後の生活をどうするか考えなければならない。スキー場で仕事をする人々は、おしなべて生活や収入面のことで悩みを抱えている。本作でもそのあたりが少し描かれている。

竜実を追う警察組織の中で、所轄と本庁の手柄争いがある。所轄の意地で先に竜実を捕まえようとやっきになる刑事。ただ、警察という言葉をださずに探すため、調査は難航する。そこで地元の居酒屋やスノボのパトロール隊たちの協力を得て、竜実を探し出そうとするのだが…。

家出した金持ちのボンボンを探す探偵というのが笑えた。刑事としてはちょっと抜けているかもしれないが、義理と人情に熱い。そのため、竜実が犯人の可能性が低いと知るや、まっさきに真犯人を探そうと必死になる。

スノボ美女に会え、そこであっさりとアリバイが証明されて終わる。このあたり、もう二転三転あるかと思いきや何もない。スノボ小説としてはスノボ好きが久しぶりにスノボに行きたくなるような要素はある。スノボに興味が無い人は、無意味な描写が続くように感じるかもしれない。

どれだけスノボに興味があるのかによって、だいぶ評価は分かれるかもしれない。ミステリーを目的に本作を読むと痛い目を見るかもしれない。東野圭吾作品の中では、そこまで万人受けする作品ではないのは確かだ。

スノボ好きならパウダースノーを滑る快感は共感できるだろう。



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