イエロー・ハンカチーフ


 2015.8.26      それぞれ問題を抱えた三人旅 【イエロー・ハンカチーフ】

                     


■ヒトコト感想

日本版は見ていない。そのため、新鮮な気持ちで見ることができた。家出娘と変わり者の青年と出所したばかりの中年男。三人があてのない旅をする。それぞれ心に抱え込んだ問題がある。中年男ブレッドが、ひょんなことから人を殺してしまい服役する。思い出のように語るブレッドと、その話に引き付けられる青年ゴーディと家出娘。

離婚届けを勝手につきつけた元妻の元へ、ブレッドは戻るのか。そして、元妻はブレッドのことを待っているのか…。感動を呼び込むのは、ブレッドと元妻の出会いと、そこからブレッドが服役するまでの流れだろう。偶然により相手を殺してしまった悲劇。ある程度無理やり感はあるが、ラストに黄色い帆がはためいているのを見ると、感動してしまう。

■ストーリー

もし、まだ待っていてくれるなら、 家の外に黄色い帆を結んでおいてくれ・・・アメリカ南部。ボーイフレンドに振られ、鬱屈した気持ちを抱えていた若い娘(クリステン・スチュワート)は、変わり者の青年・ゴーディ(エディ・レッドメイン)にドライブに誘われ、自暴自棄気味に車に乗り込む。二人はミシシッピー川のほとりに佇む中年男・ブレッド(ウィリアム・ハート)と知り合い、ひょんなことから車に乗せることになる。

実は、ブレッドは6年の刑期を終えて出所したばかりだった。そして彼には、ニューオリンズに行って確かめなければならないことがあった。服役中に離婚届を一方的に突きつけた元妻に、一通の手紙を送っていたのだ。その手紙には、こう記していた。「もしあってくれるなら、あの黄色い帆をいっぱいに張ってくれ。俺は近くまで行き、黄色い帆が張ってあるか見る。もしなれば立ち去る」-と。

■感想
傷ついた家出娘と、変わり者のゴーディ。家出娘はステレオタイプの親に反抗する若者という感じだ。ゴーディに関してはアメリカでは珍しい、変わり者過ぎて周りからハブられるというタイプのようだ。オタクとも違う、普通の見た目をしているのだが言動や行動がおかしい。

肩幅がありウエストが細いから軍服しか合わないと軍服を着たり。自分のことを異常者と言ったり。日本的な風習ならば排除されるのはわかるが、個性を重視するアメリカですら持て余すキャラということだろう。

ブレッドは寡黙で落ち着いた中年男だ。腕っぷしが強く、絡んできた男をあっという間にのしてしまうなど、昔悪だったと思わせる雰囲気はある。日本版で言うところの高倉健役を演じているのだが、どうにも見た目的には違和感がある。

頭が禿げて、Tシャツにジーンズスタイルだが、腹がポッコリと出ている。典型的な中年太りの風貌が、渋さを半減させている。ブレッドが語る元妻との思い出は、思わず引き込まれるのだが、それだけかもしれない。奇妙な3人の旅が面白いのは確かだ。

それぞれ心に傷を持つ3人が旅をする。当然、同じ部屋で寝れば、若い二人はごちゃごちゃとあり、ブレッドだけは、ひたすら過去の思い出にひたる。人生を諦め自暴自棄になったようにも見えるブレッドだが、結局のところ過去の思い出をよりどころに生きているだけだ。

ラストは若い二人に後押しされ、ダメ元で元妻のもとへと向かう。黄色い帆が、日本で言う黄色いハンカチになるのだろう。ブレッドよかったなぁ、という思いで感動するのだろう。

日本版を見ていないだけに、比較はできないが雰囲気はわかる。



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