2015.3.15 ホラーらしい余韻あるラスト 【ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館】
■ヒトコト感想
19世紀末、イギリスの田舎町で起こる奇妙な出来事。弁護士アーサーをダニエル・ラドクリフが演じ、いかにも洋風なホラーが展開される。沼地にそびえたつ古びた館。全体として暗い画面構成であり、村人たちの表情も沈んでいる。アーサーが調査する屋敷の怪しさと、村の子供たちが次々と奇妙な死に方をするのが恐ろしい。
何がでてくるかわからない恐ろしさと、そのものずばりが登場する恐ろしさの両面がある。アーサーが過去を調査し、呪いの連鎖を断ち切ろうとするのだが…。恐怖の描写はありきたりだが、安定した恐ろしさはある。いったんは呪いを断ち切ったと思わせておいて、最後の最後に…。悲しい結末だが、ホラーとしては良いのかもしれない。
■ストーリー
19世紀末のロンドンに暮らす若き弁護士アーサー・キップスは、4年前に愛妻ステラを亡くして以来、失意のどん底に沈んでいた。そんなある日、事務所の所長から新たな仕事を命じられた彼は、ひとり息子ジョセフをロンドンに残し、田舎町クライシン・ギフォードへの出張に旅立つ。
列車を乗り継いで現地に着いたアーサーに課せられたのは、最近他界したアリス・ドラブロウ夫人の“イールマーシュの館"に赴き、彼女の遺言書を見つけ出すこと。
ところが沼地の島にぽつんとそびえ立つ館にはただならぬ陰鬱なムードが漂い、謎めいた“黒衣の女"が森や窓辺に出没する。やがてこの館の忌まわしい過去と、町の大勢の子供たちが相次いで変死している事実を探りあてたアーサーは、自らも恐るべき呪いの連鎖に巻き込まれていくのだった……
■感想
イギリスの田舎町へやってきた弁護士のアーサー。目的は怪しげな館の中にある遺言書を探すためにやってきたのだが…。まず、村人たちの表情が陰鬱だ。19世紀末のイギリスの雰囲気で、村人たちの表情が暗いと、それだけで恐ろしくなる。
アーサーの調査が村に事件を起すことになる。呪われた黒衣の女の存在により、村の子供たちが次々と変死していく。まず、この子供たちの表情が強烈だ。目の周りにまっ黒くクマを作った状態でフラフラと歩きまわる。そして、口からダラリと血を垂らす。恐ろしすぎる。
何かがでてくるのでは?という恐ろしさと、突然恐ろしい女が登場する二種類の怖さがある。どちらかと言えば、ジワジワとした恐怖の方が好みだが、激しい効果音と共に突然登場する恐怖も良い。恐怖というよりは、驚きに近いかもしれないが…。
呪いの連鎖は存在し、恐怖の元凶もわかっている。そんな状態でどうにか呪いを断ち切ろうとするアーサー。ここまでくると、生半可な脅かし方ではアーサーは驚かない。恐怖の表情は浮かべるが叫ばず、じっと目を凝らすだけ。アーサーの落ち着きが物語の落ち着きに繋がっている。
ラストは悲しい余韻にあふれている。黒衣の女の呪いの連鎖を断ち切ったはずのアーサーに不幸が降りかかる。「リング」的パターンだ。解決したと思いきや、まだ呪いは続いていた。そして、そのターゲットになったのは…。
愛妻を亡くしたアーサーが幸せな結末を迎えられたと考えることもできるかもしれない。が、やはりラストは非常に切ない。ホラーだからこそ、このラストもありなのだろう。強烈なインパクトはないが、安定したホラーとしての魅力がある。
ホラー好きにはおすすめだ。
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