宇宙兄弟


 2015.12.25      JAXAの試験の特殊さ 【宇宙兄弟】

                     


■ヒトコト感想

原作マンガは読んだことがある。宇宙に憧れた兄弟がいて、弟は早々と宇宙飛行士となり、兄は遅ればせながら宇宙飛行士にチャレンジする。メインは兄である六太がJAXAの宇宙飛行士試験をどのようにのり越えるかだろう。他の候補者と共に密閉された空間で、数日間一緒に生活する。そこでは、それぞれの個性やちょっとしたアクシデントもある。

宇宙飛行士になる適正はどのようにして審査されるのか。適正試験の面白さが本作のすべてだろう。それと並行するように、日々人が宇宙飛行士として月へ到達する部分も描かれている。さらには日々人が月でアクシデントにあい、命の危険にさらされることになる。兄弟の宇宙に対する無邪気なまでの強い思いを感じることができる作品だ。

■ストーリー

宇宙に魅了され、毎日宇宙のことばかり考え星空を追い続けていた兄弟がいた。天然パーマの兄・南波六太(ナンバ・ムッタ)とツンツンヘアの弟・南波日々人(ナンバ・ヒビト)は、幼いころ、月に向かうUFOを目撃し「2人で一緒に宇宙に行こう! 」と約束を交わす。

それから19年後。弟・ヒビトは、約束通り宇宙飛行士となり、世界中の注目を集めながら間もなく月へ旅立とうとしていた。一方、兄・ムッタは上司に頭突きをし、勤めていた自動車会社をクビになり無職のムッタとなっていた・・・。そんなムッタの元に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から宇宙飛行士選抜試験の書類選考通過を知らせる手紙が届く。

■感想
上司に頭突きをして自動車会社をクビになった六太。チリチリパーマの男。宇宙飛行士になる夢を持ちながら、無難な社会人への道を選んだ男。対して六太の弟の日々人は、宇宙飛行士としてNASAに勤務し月で作業をするミッションを実行することになる。

対照的な境遇のふたり。方や日本中のヒーローとなる日々人。方や無職として就職活動にせいをだす六太。物語のメインとしては、宇宙飛行士になりたいという夢をあきらめきれない六太が、JAXAの試験をける部分だろう。同じく宇宙飛行士を目指すライバルたちと競いあいながらの試験だ。

JAXAの試験は非常に特殊だ。通常の面接があり、それ以外には候補者たちのみの密閉された空間での生活がある。外部と連絡をとる手段がない状態で、年齢性別が別々の者たちが共同生活をする。その中ではミッションがあり、チームを分けてお互いに競い合う。

さらにはJAXA側の施策として、あるメンバーにだけ、チームが不和になるような行動をあえて起こさせる。そして、険悪な雰囲気となった際に、どのような態度をとるのかが試験のポイントなのだろう。何が正解かわからないが非常に過酷な試験だ。

六太の試験とともに描かれるのが日々人の月への到達だ。厳しい訓練をクリアした者だけが宇宙へとたどり着くことができる。日々人の幼いころからの憧れである宇宙へ到達できたことの喜びはすさまじい。そして、月でアクシデントが起こった際に、日々人の底力が試されることになる。

このあたり、改めて宇宙飛行士の危険性が描かれている。憧れだけではできない仕事。死ぬ可能性もある。危険な状況へチャレンジすることで、すばらしい名誉を手に入れることができる。

宇宙に憧れる兄弟の感動物語だ。



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