うさぎドロップ


 2015.6.26      27歳独身男が突然子持ちになる 【うさぎドロップ】

                     


■ヒトコト感想

祖父の隠し子を引き取ることになったダイキチ。単純に考えると、27歳の独身男が6歳の女の子を引き取るなんてことはありえない。作中でも描かれているが、仕事と子育ての両立はとてつもなく難しい。そんな当たり前の状況を皆が理解しているからこそ、ダイキチが必死でりんの面倒をみて、りんがダイキチに懐くというのが感動的に見えてくるのだろう。

ダイキチの奮闘ぶりはすばらしい。自分中心になりがちなところを、祖父の隠し子のために自分を犠牲にする。子供のために残業のない部署へ異動するなんてのは、まさに父親の鏡かもしれない。ただ、今は良いがのちのちりんが成長するにつれ、何かと問題が起こりそうなことは確かだ。

■ストーリー

27歳、彼女なし。ごくフツーのサラリーマンであるダイキチが、祖父のお葬式で出会った孤独で悲しげな女の子は、おじいちゃんの隠し子だった!?引き取り手のないその少女・りんを男気を見せて連れ帰ったダイキチ。こうして、突然、二人の共同生活が始まった!

慣れない子育てにあたふたしつつも、いつもりんのことを一番に考え、底なしの優しさで包み込み育てていくダイキチ。そんなダイキチに心を開き、無邪気な笑顔を見せるようになるりん。ひょんなことから一緒に暮らすことになった二人が、周りのみんなに支えられ、見守られながら、本当の家族のような愛情と絆で結ばれていく。

■感想
ごく普通のサラリーマンが突然6歳の子供の父親代わりとなる。いくら引き取り手がないからといって、27歳の独身男が引き取るのは、最もありえない選択肢だろう。そして、それを描くからこそ、感動を呼び起こすのだろう。

りんの健気な表情と、子供ながらにダイキチに迷惑をかけまいとする行動に泣けてくる。恐らくだが、子供を持つ親であれば、何かしら感じるものがあるだろ。ちょうど、自分にも同じような歳の子供がいるだけに、ダイキチの勇気と行動に感動せずにはいられない。

自分の子供であっても、男親がひとりで仕事をしながら面倒をみるのは辛い。それを、祖父の隠し子だからといって、どれだけ打ちとけることができるのか。りんがダイキチの気持ちに気づいたからこそ、しっかりと懐いているのが印象的だ。

仕事をしながらの子育てに四苦八苦するダイキチ。そして、自分の母親が自分を犠牲にして子育てをしてきたという言葉が重くのしかかる。子供に向かっては、思っていても言ってはいけない言葉だとは思うのだが…。本作ではその言葉が重要なカギとなっている。

周りに助けられながらりんとの生活を続けるダイキチ。本作で最も印象的なのは、ダイキチの元に児童養護施設の担当者が話をしにやってくる場面だ。ダイキチはりんに対して情がうつり、離したくない。養護施設の担当者はそれを察知し、今は良いが将来はどうするのかと迫る。

まさに正論であり、ダイキチやりんからしても、施設に入れた方が良いような気がしてならない。ただ、世間の常識からかけ離れた行動をとることで、物語に感動を生み出している。先のことはわからない。今はりんと楽しく暮らしているといった感じか。

子を持つ親であれば、感じるものはあるだろう。



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