ちゃんと伝える


 2015.1.30      さわやかなアキラ 【ちゃんと伝える】

                     


■ヒトコト感想

親子関係を描いた作品。タウン誌で働く青年史朗をEXILEのアキラが好演している。さわやかな風貌と優しげな語り口。教師でありサッカー部監督の父親と若いころは反目していたが、社会人となりお互いの考え方を変えて歩み寄る。父親が倒れてから父親との関係を見直す史朗。どこの親子もそんなものだろう。

父親がガン宣告をされてから、父親の願いをかなえるため一緒に釣りへ行こうとする。父親へ何かしら伝えることを考えるが、もうひとつ別に伝えるべき人がいる。それが、史朗の婚約者だ。単純な親子関係の物語ではない。父親だけでなく史朗自身もガンにおかされていた。衝撃的な展開であることは間違いない。史朗がガンを宣告された際の衝撃が画面から伝わってきた。

■ストーリー

タウン誌の編集者として働く史朗の下へ、父が倒れたとの報せが届く。父の命が長くないことを知った彼は、子供の頃から敬遠していた父と、初めて真剣に向き合うことを決意するが…。

■感想
伝えるべきことを相手に伝えているか。普段、何げなく接している人に対して、本当に伝えなければならないことをちゃんと伝えることができているか。本作を見ると、何かそのことを考えるきっかけにできそうな気がした。

気恥ずかしくて伝えられないとか、変に気を使うだとか様々な理由があるだろう。父親がガンとわかり余命わずかとなると、とたんに父親と話しておくべきことが思い浮かぶ。もしかしたら、世間の大多数の人はそんな感じなのかもしれない。伝えるべきことを伝える大切さを描いた作品だ。

ガンを宣告された父親。親が子供より先に死ぬのは自然の摂理だ。ただ、本作では史朗自身もガンだということが判明する。それも父親よりもガンが進行している。もしかしたら、父親よりも先に死んでしまうかもしれない。そんな恐怖と悲しみにとらわれた史朗が、父親とどう向き合っていくのか。

非常に複雑だ。父親の死を受け入れる気持ちでいたのが、自分の死が間近に迫っているとわかったとき、婚約者を含め、周りに対してどのような行動をとるのか。本作の史朗はあまりに大人すぎるような気がした。

衝撃的な状況から、突如として父親が死ぬ。そこで伝えるべきことが伝えきれなかったと後悔をする史朗。普通に考えれば自分が第一だろう。例え父親が死ぬと分かっていても、そのことを悲しめるのは、自分が普通にその後生活できていればの話だ。

もしかしたら自分の方が父親よりも先に死ぬ、またはすぐに後を追いかける状況だったら…。父親と子供の関係としては複雑だが、伝えるべきことを伝えなければならないというのはよくわかる。しかし、史朗の立場でそれができるかというと…。非常に難しい状況だ。

アキラのさわやかさがやけに目につく作品だ。



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