とっぴんぱらりの風太郎 下  


 2017.4.29      シリアス路線で圧巻のラスト 【とっぴんぱらりの風太郎 下】

                     
とっぴんぱらりの風太郎 下 [ 万城目 学 ]
評価:4
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■ヒトコト感想
物語はなんやかんやとありながら、最後の大決戦である大阪城が舞台となる。感動物語と言えるだろう。瓢箪の仙人に依頼されたことを達成すると共に、豊臣の跡取りを守るという使命をうけた風太郎。仲間たちと共に危険な任務につかざるお得なくなったのだが…。

今まで反発してきた蝉や百市などと協力するなど、ラストへ向けての激しい戦いが想定できる。そして、お決まりどおり風太郎を逃がすために犠牲となっていく仲間たち。ありきたりかもしれないが、忍びの最後の命を賭けた戦いというのは、読んでいて心が熱くなってくる。タイトルが「とっぴんぱらり」とあるので、ある程度コメディを予想していたが、がっつりとしたシリアスな忍者物語となっている。

■ストーリー
和議成立ののち、平穏な日々が戻ったのも束の間、血なまぐさい因縁が風太郎を追い立てる。やがて訪れる最後の大決戦。燃え盛る大坂城目指し、だましだまされ、斬っては斬られ、忍びたちの命を懸けた死闘が始まる。崩れ落ちる天守閣、無情の別離、託された希望。圧巻のクライマックス。

■感想
上司たちの思惑に踊らされ、下っ端忍者は何もわからずただ命令されたことを実行するだけ。上巻での流れは続き、下巻では真実を知りつつも命令ならばと使命をまっとうしようとする風太郎。瓢箪の仙人からは、無理難題が言いつけられるも、それをすんでのところでクリアする風太郎。

そして、町へ行くと因縁の残菊と出会ったり、果ては百市が殺され風太郎も残菊に襲われたりもする。さんざんな目に遭いながらも、風太郎は運よく生き残ることができる。生きるか死ぬかの駆け引きは強烈だ。

ラストは「ひさご様」が待つ大阪城に向かうミッションとなる。この段階では、風太郎はただお使いを頼まれただけだ。それが、ひさご様と出会い、豊臣家の血を引く子供を受け取ると、あとは生きて大阪城をでるしかない。ここからシリアス全開となる。

自分が生き残ることだけを考える蝉でさえ、いつの間にか風太郎を逃がすために自己犠牲の精神を見せ始める。黒弓や常世は当然のこととして、風太郎を助けるために残菊の一味と激しい戦いを繰り広げる。その後、蝉すらも反発していた風太郎のために命を賭けることになる。

風太郎と残菊の最後の戦いはすさまじい。そして、蝉やその他のキャラクターたちの命を賭けた戦いというのが無性に心に残っている。忍びとして、命を賭けて守るものがある時の戦いには強烈なインパクトがある。そしてボロボロになりながらも、守りきるのがすばらしい。

唯一の生き残りにすべてを託してというのが強烈だ。タイトルから受ける印象と下巻の流れはかなり異なる。シリアス路線全開であり、強烈に印象に残るラストとなっている。

圧巻のラストは強烈だ。



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