2017.11.29 高所恐怖症の人は見るべからず 【ザ・ウォーク】
ザ・ウォーク [ ジョセフ・ゴードン=レヴィット ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
パフォーマーのフィリップがワールドトレードセンターのツインタワー間を綱渡りする。実話をベースとした本作。超高層ビルの間を綱渡りで渡るのはとてつもない行動だ。本作はその綱渡りの恐怖を描くのではない。物語の面白さは、ゲリラ的に何の許可も取らずにこっそり忍び込んでワイヤーを張り、綱渡りをしてしまおうということだ。
当然準備から協力者まで必要なものは多数ある。それらをちょっと個性の強いフィリップが、同じく個性的な仲間を集めて実行しようとする。結末は知らない方がよいだろう。実話ベースということで、クライマックスの場面ではいつか落ちるのでは?とハラハラドキドキしながら見てしまった。
■ストーリー
1973年、フィリップはストリート・パフォーマーとして日銭を稼いでいた。ある日、歯医者の待合室で見た雑誌記事が彼の運命を変える。完成すれば世界最高層となる、ニューヨーク、ワールド・トレードセンター。そのツインタワーの屋上の間にワイヤーを架けて歩く・・・。
フィリップは危険を承知で、この"夢"を実現させようと猛烈な勢いで走り始める。そして1974年8月6日、フィリップは"共犯者"たちと一世一代のパフォーマンスに挑む。だが彼らの行く手には、相次ぐ想定外のトラブルが待ち受けていたのであった。
■感想
ワールドトレードセンターのツインタワー間を綱渡りで渡ろうとする狂気。本作は実話でありフィリップが段階を踏んで綱渡りの技術を磨いていくことが描かれている。最初は傲慢な大道芸人でしかないフィリップが、師匠に師事し仲間に恵まれ綱渡りの技術を高めていく。
とりたてて魅力のある人物ではないが、ひとつの信念に向かってあきらめない強さというのがある。周りはそれに影響され、いつの間にか協力してしまう。綱渡りは常にゲリラ的なやり方のため、警察に捕まるリスクがある。それらを加味してもフィリップには協力したくなる魅力があるのだろう。
綱渡りと一言でいってもかなり入念な準備が必要なようだ。ビル間が40mを超えるとなると、それを張り巡らすワイヤーの重量も相当なものだ。何より一番のハードルは、どのようにしてビルの屋上にたどり着くかということだ。
本作ではこのあたりが面白さのピークだろう。様々な仲間の協力や離脱があり、また運にも助けられ奇跡的に準備が間に合う。いざ、渡ろうという時に、ひとりの男が屋上にやってくる。このあたり、すべて実話というのが驚きだ。
ラストの綱渡りの場面では、結末を知らないのでハラハラドキドキしながら見た。その前に伏線としてラストの三歩で失敗することが多いと描かれていたので…。フィリップが綱渡りを一度成功させてなお、ビル間を何度も行ったり来たりする場面では、何かがあるのではないか?と思わずにはいられない。
普通の映画であれば何もなければ無駄な演出となる。それが実話をベースにしたということで…。とんでもないことをやろうとした男の、夢に向かう熱さを感じずにはいられない。
高所恐怖症の人は見ない方がよいだろう。
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