2015.3.26 モーガン・フリーマンに悪役は似合わない 【ザ・スナイパー】
■ヒトコト感想
モーガン・フリーマンが暗殺者フランクを演じる本作。息子との関係を築くためにキャンプへ出かけたレイが、FBIから逃走したフランクと出会う。フランクの仲間たちは情け容赦なく邪魔者を殺していく。そんな悪人のフランクを、善良な親子が森の中を彷徨いながら追っ手から逃げ、警察へ連絡しようとする。手錠をかけられたフランクが、森を連れまわされているうちに、いつの間にかレイ親子と親しくなる。
モーガンフリーマンが演じると、完全なる悪人にはなれないのだろう。あらゆる組織から狙われ始めるフランク。レイ親子との駆け引きや、フランクを負うFBIの女捜査官など、特殊な面々の個性が面白さを引き立てている。フランクの仲間が普通な表情をしつつ、凶悪なのが良い。
■ストーリー
衝撃のラスト!!政府の陰謀が忍び寄る…レイ(キューザック)は元警官の体育教師。息子と絆を深めようと、森へキャンプにでかけたところ、FBIから逃れようとするプロの暗殺者フランク(フリーマン)を見つける。正義感からレイは、フランクを連行するが、彼の仲間の殺し屋が追いかけてくる。彼らはある重要人物の暗殺を任命されていた…。果たしてレイたちは無事、逃げ切れるのか?!
■感想
元警官で息子といまいちしっくりこない父親レイ役をキューザックが演じている。森の中で逃走中のフランクと出会う。この出会いが不幸の始まりだ。成り行きからフランクに手錠をかけ、警察へ連絡しようとする。フランクの仲間が追いかけていることから、フランクに自分を逃がすように言わる。
普通ならば、プロの暗殺者グループに追われると分かれば、あっさりとフランクを解き放つだろう。レイは強情にもフランクを警察へ差し出そうとする。伏線として、子供とレイとの関係がある。子供の目の前だからこそ父親としての威厳を見せたかったのだろうか。
森の中を手錠をかけられた状態で進むフランク。険しい山道を歩くうちに、レイ親子とフランクの間に奇妙な関係性が生まれ始める。やはりモーガンフリーマンに悪人役は似合わない。プロの暗殺者で、狙った者は絶対に逃さないと前ふりされているが、どうしても極悪人に見えない。
対して、フランクの仲間たちは、ごく普通の風貌ながら凶悪だ。出会う者たちをあっさりと射殺していく。フランクをいくら極悪人として描こうとしても、仲間たちの凶悪さに比べるとインパクトは弱まってしまっている。
フランクを追いかけるFBIの女捜査官が特殊だ。おばさんだが圧倒的な迫力がある。田舎警察をバカにし、フランクの仲間と裏取引し、フランクを殺そうとする。さらには、森の中をフランクと共にさまよっているレイ親子の殺害も視野にいれる。
部下を手足として扱い、自分は椅子に座りエスプレッソを飲む。眉間にしわが寄った表情は、ヒステリーを起こす寸前のおばさんに見えてしょうがない。ちょっとハスキーな声と相まって、なんだかやけに強く印象に残っている。
やはり、なんだかんだ言って、モーガン・フリーマンに悪役は似合わない。
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