ザ・マスター


 2015.9.20      教祖の強烈なマインドコントロール 【ザ・マスター】

                     


■ヒトコト感想

アル中の元兵士フレディが新興宗教の教祖であるマスターに心酔していく物語。まずフレディの異常な行動に強烈なインパクトがある。常に猫背で痩せてがりがりだが、目だけは異様にギラギラとしている。マスターと出会い、マインドコントロールされていく様は強烈だ。フレディが心酔するマスターもまた強烈だ。ひたすら相手に同じ問いかけばかりを続け、相手の心をくじけさせる。

ひたすら同じ行動ばかりさせ、相手の心を自分に向けさせる。まさに宗教団体が信者をマインドコントロールする手法だ。マスターのカリスマ性でも制御できないフレディ。客観的に見て、制御できず突如として暴れ出すフレディは仲間に引き入れておく必要がないように見えるが…。それでもマスターはフレディをそばに置こうとする。

■ストーリー

新興宗教の教祖・マスター(フィリップ・シーモア・ホフマン)と教団の要であるマスターの妻・ペギー(エイミー・アダムス)。2人はアルコール依存を抱え、人生に迷う元兵士フレディ(ホアキン・フェニックス)に出会う。彼の登場は教団の未来を左右するのだった・・・。

■感想
粗暴で常識の通じないアル中の元兵士フレディ。偶然入り込んだ船の中で新興宗教の教祖であるマスターと出会う。最初のマスターの印象は怪しさなど一切ない、セレブな雰囲気をただよわせていた。それが、信者たちを怪しげなトレーニングでマインドコントロールする、少しおかしな人物という印象が強くなってくる。

フレディはマスターにより怪しげな質問を繰り返される。同じことを何度も何度も繰り返しながら、最後にはフレディが発狂するようになる。この流れはまさに宗教のマインドコントロールに似ている。

アル中のフレディがマスターのトレーニングにより変わっていく。ただ、暴れん坊の素養は残している。フレディの怪しげな視線が恐ろしい。マスターをインチキだと告発する者に対して、フレディは、物陰から襲いかかる。あからさまに非難を浴びせてくる者たちには、フレディは容赦なく攻撃する。

マスターとフレディの関係がなんとも不思議だ。粗暴なフレディを手におえないと思いながら、フレディのことが気になってしかたがないマスター。フレディもまたマスターのことを愛してやまない。

フレディとマスターだけでなく、マスターの妻であるペギーが物語の鍵を握っている。マスターすら操るような人物であるペギー。フレディに対しても厳しい言葉をあびせかける。

ある日、マスターが新しいバイクを荒野でひたすら走らせるということをやったとき、フレディはそのバイクに乗りそのままどこかへ逃げ出してしまう。フレディの自由さは爽快でもあるが、表情を見ると恐ろしくなる。フレディとマスターの関係は、精神的な同性愛のように思えるほど親密な関係だ。

フレディがマスターにトレーニングされる場面は強烈だ。



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