2015.10.2 ミャンマーの真実 【The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛】
■ヒトコト感想
アウンサンスーチーについては、ニュースで報道される程度の知識しかない。長期間自宅軟禁状態にあったことも知っていた。ただ、細かな内情は本作を見てとてもよくわかった。スーチーの父親が国民から愛される将軍だったこと。軍事独裁政権とひたすら対決し続けたこと。軍がなぜスーチーを殺さないかなどがわかりやすく描かれている。
さらには、スーチーがイギリス人と結婚し、子供をもうけていたにも関わらず、ミャンマーの地で民主化を目指していたこと。ノーベル平和賞を受賞するまでになった人物でも、軍から常に目の仇にされる。現在でも解決したとは言えないミャンマーの現状がよくわかる作品だ。
■ストーリー
1988年、ビルマ――。英国で幸せな家庭生活を送っていたアウンサンスーチー(ミシェル・ヨー)は、母の看病のために久しぶりに祖国・ビルマ(現ミャンマー)に戻ることになった。そこで目にしたのは学生による民主主義運動を軍事政権が武力で制圧する惨状・・・。
そんな中、「ビルマ建国の父」と死後も多くの国民から敬愛されるアウンサン将軍の娘の帰国を聞きつけた民主主義運動家たちがスーチーの元に集まり選挙への出馬を懇願する。不安を抱きながらも民衆の前で立候補を決意するスーチーだったが、それは、ビルマを支配する軍事独裁政権との長い闘いの始まりであり、愛する家族とのひき裂かれた辛く厳しい人生の始まりを意味していた。
■感想
アウンサンスーチーの半生を描いた作品。ミャンマーの民主化を目指すきっかけが、軍による学生たちへの虐殺を目の当たりにしたからという流れがある。正直、アウンサンスーチーについてはノーベル平和賞をとったくらいしか知らない。
なぜ、ミャンマーで軟禁されていたのか、何が問題なのかはまったく認識していなかった。本作を見ることで、軍の独裁政治から国を民主化へと変身させようと苦闘する様が描かれている。
アウンサンスーチーがイギリス人と結婚していたとは知らなかった。二人の子供の母親でありながら、それでも父親の意思を継ぎ、民主主義の道を進もうとする。軍がそれほど邪魔な存在であるスーチーをなぜ始末しないのか?という疑問もしっかりと描かれている。
国際社会からはどれだけ非難されようとも、まったくスタンスを変えようとしなかった軍が、アジアの特に日本からの要請にはしっかりと答えて、何かしら態度に示したということにも驚かされた。アジアでは日本の影響力は大きいのだろう。
本作の流れ的には、夫よりも国を選んだという流れになっている。夫が末期がんで余命わずかとわかったとしても、夫に会うために出国という手段を選ばないスーチー。一度国を出てしまうと、二度と戻れないという感覚があるからだろう。
同じく夫は軍に難癖をつけられて、ミャンマーに入国ができない。サブタイトルにある「ひき裂かれた愛」は、このことを意味しているのだろう。歴史的に重要な転換期にあるミャンマー。のちの歴史に大きく名を残すのは間違いない人物だ。
いまだ軍事独裁政権が生き残っていることには驚かされる。
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