鉄くず拾いの物語


 2017.3.13      自分の車を解体して現金化 【鉄くず拾いの物語】

                     
評価:3

■ヒトコト感想
ボスニアで鉄くず拾いで生計を立てている一家の物語。ボスニアの村での物語なのだが、現代の生活とは思えないほど特殊な状況がそこにはある。テレビや電気はきているのだが、火を燃やす燃料として薪が必要であったり、車はあるのだが、車を鉄くずにして売り払ったり。ナジフの妻セナダが病気になり手術をしないと命の危険がある。莫大な手術費用が払えないナジフは…。

日々の生活は鉄くずを拾って、それを金に換えて毎日の現金収入としている。貧乏だが家族は幸せそうに暮らしている。無事手術をしたとしても、薬代が必要だ。となると、自分の車を鉄くずにして売り、薬代や電気代とする。その場しのぎにしか思えないが、ナジフたちは先のことはそこまで考えないのだろう。

■ストーリー
ボスニア・ヘルツェゴヴィナに住むロマのナジフとその妻セナダ。ナジフは拾った鉄くずを売り一家の生計を支え、二人の娘と共に貧しいながらも穏やかで幸せな生活を営んでいる。ある日ナジフが家に帰ると、三人目を身ごもっているセナダが激しい腹痛に苦しんでいた。翌日ナジフは車を借り、一番近い病院へとセナダを連れて行く。

セナダは流産し5カ月の胎児はお腹の中ですでに死んでいると診断され、遠い街の病院で今すぐに手術をしなければ命に関わる危険な状態だと言われる。しかし保険証を持っていなかったため、彼らには支払うことのできない980マルク(500ユーロ)もの手術代を要求された。

■感想
この物語を見て、毎日平穏にのんびり暮らして幸せだと思うのか、それとも明日の現金収入にも困るような生活は大変だと思うのか。人によって意見は分かれるだろう。ナジフは決まった仕事があるわけでもなく、現金収入を得る手段は鉄くず拾いだけだ。

日本で言うところのホームレスに近いかもしれない。ただ、ナジフには2人の娘と妻がおり家もあり車もある。このあたり、近代化されているが、仕事がないということで妙なアンバランスさがある。車に乗り街に行けば、そこには高層ビルもある。

ナジフの妻セドナが病気となり手術しないと命の危険もある。高額な手術費が払えないナジフは途方にくれる。保険にも入っておらず、まとまった現金もない。分割払いも拒否されるとどうしようもない。医者を攻めるのはお門違いだ。かといって、ナジフたちにはどうすることもできない。

結局のところ貧乏がすべて悪いということになる。ナジフの環境的にすぐに大金を手にする手段があるわけはない。となると、どうなるのか…。悲しいがこれが現実なのだろう。

無事手術を終えたとしても、薬代が必要であり、止められた電気を復旧させるために現金が必要となる。ナジフは現金を用意するため自分の車を解体し始める。非常にショッキングな映像だ。仮に車を鉄くずにして現金を手に入れたとして、その先どうするのか。

鉄くず拾いがずっと収入を得る手段として成立するわけではない。いずれ袋小路にぶち当たることは明白だ。それでも、作中のナジフは子供たちのためには家に電気が必要であり、妻のために薬が必要なので車を解体する。

この先、ナジフ家族がどうなるのか、気になって仕方がない。



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