天地明察


 2016.3.25      安井算哲は魅力的な人物だ 【天地明察】

                     
天地明察 [ 岡田准一 ]

■ヒトコト感想
まっすぐな気持ちで前へ突き進む主人公・安井算哲をV6の岡田が好演している。星の観測や算術が好きな算哲。ひょんなことから日本全国を回る観測の旅に行かされることになる。そこでの成果が認められ、新しい暦を作るという一大計画のリーダーに抜擢される。算哲のまっすぐな気持ちと、算哲を慕いながら待ち続ける女がなんともいじらしい。

最初は算術にのめりこむだけの、ちょっと無鉄砲な青年だったのが、新たな仕事を与えられると、その仕事の格と同様に算哲もたくましく成長していく。ラストの流れはすばらしい。公家が提唱する暦と算哲が発見した暦。どちらか正しいか。算哲が間違った場合は切腹するという。結末はわかってはいるが、ドキドキが止まらない

■ストーリー

星の観測と算術が大好きな青年・安井算哲は会津藩主・保科正之によって、新しい暦を作るという一大計画のリーダーに抜擢される。

■感想
算哲のまっすぐな気持ちは、見ていて気持ちがよい。何かにのめりこみ、一心に前にすすんでいく。難しい算術に出会うと、問題を解くことに心血をそそぎ時間がたつのも忘れてしまう。さらには、自ら算術問題を作ったりもする。

まずこの算哲のキャラクターが魅力的で好感度ばつぐんなので、見ていて心地良くなる。日本全国を観測のためにまわる旅で、ひとつの成果をだす算哲。その成果やまわりからの評判が水戸光圀の耳に入り、そこから暦を一新する命をうける。

算哲の周りで、算哲へ協力しようとする者たちがまた気持ちの良い者たちばかりだ。算哲をひたすら待ち続ける女。算哲の師匠に、算哲と共に算術を研究しつづける男。光圀もまた算哲に肩入れしている。それらの者たちの協力で、算哲は一度の失敗にめげることなく新たな暦を作り上げようとする。

普通に考えると、地道に毎日決まった時間に星を観測し、その法則性をみいだすなど、果てしなく長い作業だ。正しいと思った法則が、ある場合だけズレる時がある。作中の算哲がまるでノイローゼのような表情をしている場面は印象的だ。

算哲が必死になり生み出した大和歴。朝廷が暦を管理すべきと、新たな暦を発表した公家たち。ここで、算哲の大和歴と公家たちの暦での対決が始まる。もし、間違えたら腹を切る覚悟の算哲。げっそりとした表情の中に、絶対的な自信があろうとも、どこかわずかな不安をのぞかせる。

定番的流れになるのは間違いないのだが、太陽が隠れるのか、それとも…。この緊迫感はすばらしい。江戸の時代に正しい暦を作り上げることの困難さを描いた良作だ。

安井算哲なんて人物がいることすら知らなかった。



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