天使のくれた時間


 2016.5.25      金持ち社長か平凡なオヤジか 【天使のくれた時間】

                     
天使のくれた時間【Blu-ray】 [ ニコラス・ケイジ ]

■ヒトコト感想
ウオール街で成功を手に入れたジャックが、突如として昔別れた恋人のケイトと結婚し車屋でタイヤを売る男に生まれ変わっていた。ある意味、別の人生を経験できるというファンタジーだ。人生の幸せとは何なのか?ということを問われているような気もする。使いきれないほどの金を手に入れた社長の人生と、家族や友人に囲まれたごく平凡な生活。

金の面での不自由さはあるが…。どちらが良いのかは人それぞれだろう。無い物ねだりかもしれないが、金があるときには家族がほしくなり、家族があるときには金がほしくなる。最終的には家族のある生活が幸せだという結論となる。ファンタジーあふれる作品なのだが、いろいろと考えさせられることがある。

■ストーリー

1987年。ウォール街での成功を夢見るジャック・キャンベルは、研修のために恋人のケイトに見送られ、ロンドンへ旅立とうとしていた。「ロンドン行きは考え直して。今すぐふたりの人生を始めましょう。」と涙をみせるケイトに「たとえ100年離れていても僕らは変わらない」と答えるジャック。13年後。ジャックは大手金融会社の社長の座につき、お金と地位、欲しいものは全て手に入れ、独身生活を謳歌していた。

クリスマスイヴの夜、スーパーに立ち寄った彼は、不思議な黒人青年のキャッシュと出会い、「これから起こることは、あんたが招いたことだ。」と言われる。この言葉の意味がわからないまま、眠りにつくジャック。翌朝、目をさました彼の隣には、13年前に別れたケイトが眠っている。≪いったい何が起きたんだ?≫狐につままれた思いで表に飛び出したジャック。

■感想
もしあの時、こうしていたら…。というのは誰にでもあることだろう。大手金融会社の社長の座を手に入れ、うなるような金を手にしたジャック。贅沢な暮らしをしているが、ある日突然、人生が様変わりする。目が覚めると、隣には昔別れた恋人のケイトがいる。

二人の子供に恵まれ日々アクセク働きながら友人に囲まれた毎日を過ごす。社長から比べると生活は大きく変わる。そのことに違和感をもち、グチを言い続けるジャック。それは当然だろう。日々の買い物にも節約しなければならない生活に嫌気が差すのも当然だ。

社長時代であれば、あれもできてこれもできた。なんてことを考えるジャック。ただ、家族と過ごす時間の幸せも感じている。お決まりどおりのパターンとして、社長よりも家族を選ぶのは既定路線だとわかっていても、どのような経緯でそうなるかの流れが気になるところだ。

ふと、自分に置き換えて考えてみたりした。社長となり金に不自由しないとしても、毎日ひとりで高級マンションに帰るのはさみしいことかもしれない。やはり、金はある方が良いのだろうが、家族はかけがえのないものと思い知らされる作品だ。

社長へと戻ったあとのジャックの苦悩はよくわかる。家族の温かみを一度でも知ってしまうと、ひとりっきりの生活はこたえるのだろう。この時代のケイトを探し出そうと必死になるジャック。そして、同じく弁護士としてのキャリアを積み上げたケイトと出会う。

この段階でのふたりのやりとりが秀逸だ。ジャックの家族がほしいという熱意が伝わってくる。弁護士として仕事に燃えるケイトは、家庭に入ることがはたして幸せなのか、男女の感じ方の違いはあるかもしれない。

家族の温かみを再認識する作品だ。



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