探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて 


 2018.2.10      南武線メインの物語 【探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて】

                     
探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて[ 東川篤哉 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
溝ノ口が舞台となったミステリー。自分が武蔵溝ノ口の隣である武蔵新城と武蔵中原に住んでいたこともあり、非常になじみ深い。内容はライトなミステリーだが、舞台が南武線ということで、懐かしの風景を頭の中に思い浮かべながら楽しむことができた。武蔵新城の商店街を登場させたり、果ては南武線の仕組みをミステリーのトリックとしたり。

地元民であれば間違いなく楽しめることだろう。強烈なインパクトはなく、ミステリーのトリックもたいしたことはない。そのため、南武線や武蔵溝ノ口になじみのない人にとっては面白くもなんともない作品となるだろう。なんでも屋が探偵まがいのことをやり、少女が凄腕探偵となる。まぁ、ありきたりなパターンかもしれない。

■ストーリー
誤発注した大量のオイルサーディンとともに、勤め先のスーパーをクビになり、地元で『なんでも屋タチバナ』を始めた、俺、橘良太。三十一歳、独身、趣味はナシ、特技は寝ること。すこぶる平凡な俺が、なんと殺人鬼の濡れ衣を着せられてしまう!そんな折、俺の前にわずか十歳にして自らを探偵と信じる無垢で無謀な美少女・綾羅木有紗が現れた―。

殺人鬼の疑いを晴らすため、俺はしぶしぶ有紗と事件を調べはじめるが…。溝ノ口で事件のあるところに、天才美少女探偵あり!爆笑必至のユーモア・ミステリー。

■感想
勤め先をクビになった男が、なんでも屋を始め、少女探偵と事件を解決するという、わりと内容が想像できるライトなミステリーだ。タイトルにもあるように舞台が溝ノ口なのが特徴だろう。地元民が喜びそうな商店街の話や南武線の特殊性まで。

溝ノ口だけでなく隣の武蔵新城についての描写も細かく描かれている。武蔵中原や武蔵新城に住んだことのある人は楽しめるだろう。地元のちょっとした小ネタや南武線がミステリーのトリックとなるなど、知らなければ楽しめないネタが盛りだくさんだ。

ライトな短編ミステリーが収録されている本作。なんでも屋のタチバナと天才美少女探偵のやりとりで物語を面白くしている。小生意気な少女探偵とタチバナのやりとりは作者の他作品と同様に軽快な雰囲気がある。ただ、ミステリーとして重厚であったり、シリアスな展開ではない。

基本は日常のちょっとした謎、特にアリバイについてのトリックを少女探偵が解決している。少女の父親が有名な探偵であったり、タチバナに少女のお守を依頼したりと、ユーモアあふれる展開であることは間違いない。

わずか十歳の純真無垢な少女が探偵として活躍する。溝ノ口の事件限定ということで、様々な問題はあるのだろう。制限された中でのミステリーとしての面白さはある。溝ノ口にゆかりのある人は楽しめるだろう。それ以外の人には、東川篤哉の作品に慣れている人であれば、問題ないだろう。

明るいライトなミステリーで、タチバナが十歳の少女に何かと言い負かされたりするあたりが面白い。事件を調べはじめるまでのパターンが似通っているのも、定番パターンとしての面白さがある。

溝ノ口周辺住民であれば、間違いなく楽しめるだろう。



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