台北に舞う雪


 2016.8.24      純朴なモウに同情心がわく 【台北に舞う雪】

                     
[DVD洋]台北に舞う雪

■ヒトコト感想
人気新人歌手が失踪した。ある田舎町で素朴に暮らすモウの元に、メイがやってくる。声は出せないが美しく洗練された雰囲気をだすメイに惹かれるモウ。純朴な青年と都会から逃げてきたメイの恋が始まる。前半部分は清らかな恋が描かれている。メイとモウのプラトニックな関係はさわやかだが、いずれ崩れ去るだろう雰囲気はある。

並行してメイを必死に探す記者の存在や、音楽プロデューサーのレイの存在など、メイの周りを取り巻く環境が次第に明らかとなる。モウはメイがいつかは離れていくのを覚悟していたのだろう。声が治れば出て行ってしまう。それを知りながらメイの声がでるように治療する。なんとも切なくなるような流れだ。

■ストーリー

新作発表直前に声が出なくなった人気歌手メイ。想いを寄せる若くして成功した音楽プロデューサーのレイに捨てられる事を恐れ、誰にも告げずに突如失踪する。とある田舎街にたどり着いたメイ。そこで孤児とし
て成長し、健気に暮らす一人の青年モウと出会う。モウと彼を取り巻く人々に癒されながら、メイは次第に元気を取り戻し、声も出るようになっていった。過去を思うメイの気持ちを知りながら、モウは静かに想いを寄せる。

しばらく、二人のおだやかな時間が流れていくが・・・ある日、レイはメイの居場所を探し出し、メイを迎えに来る。幸せそうなメイにモウは自分の気持ちを伝えることができなかった。そしてモウの気持ちに応える勇気がなかったメイは、レイと一緒に街を去る。 歌手として再スタートをしたメイはやがてモウの優しさに気づき―。

■感想
人気歌手がプレッシャーに負けて声がでなくなる。そして、逃げ出した先で出会う優しい男。恋愛関係となるのは時間の問題だろう。ただ、人気歌手は声が戻れば華やかな世界へと戻っていく。メイのキャラクターが人気歌手とはいえ、高飛車な雰囲気がなく、どこか田舎娘風な雰囲気をだしているのが良い。

同じく純朴な青年モウとはお似合いの関係だ。ただ、メイが恋していたのは音楽プロデューサーのレイで、レイに棄てられ傷つくことを恐れ、自分から逃げ出したのがメイだ。

田舎での心地良い生活。メイとモウの日々は幸せに満ちている。が、そこにメイを探す記者の存在が明らかとなった時、ふたりの関係に変化がおとずれる。モウの本心としては、このままメイの声が治らず、ずっとここにいてほしいと思っているのだろう。

反面、メイの声が治って元気をだしてほしいとも思う。メイが真に輝く場所を提供するためモウが奔走する。それはつまりメイとの別れに近づいているはずだが、モウはメイのためだけを思い必死になる。このモウのいじらしさが強烈に印象に残っている。

メイが回復し、居場所を知られレイと共に華やかな世界へ向かうメイ。そして、田舎町に残されたモウ。なんだかモウがかわいそうに見えてしまう。メイがひどいことをしているとは思わない。メイとしては元の場所に戻るというだけだ。

ただ、メイがレイとくっつき、モウがひとり残されるとなると、どうしてもモウに同情してしまう。モウが同情を誘うような表情をしており、純朴そうな風貌がみじめさを増幅させている。ラストの流れはちょっととってつけたような感じなのは、観衆の希望を取り入れたのだろうか。

現実を見せられる流れだが、ラストのオマケは必要なのだろう。



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