少女は自転車にのって


 2016.5.29      究極に男尊女卑な世界 【少女は自転車にのって】

                     
少女は自転車にのって [ ワアド・ムハンマド ]

■ヒトコト感想
サウジアラビアを舞台にした物語。男尊女卑の極端なパターンということなのだろうか。女だからと制限ある生活に嫌気がさした少女が、古い因習にとらわれず自分の思うがままに活動しようとする物語。今の時代にこれほど女性ということで制限がある世界があるのかと驚かされる。女性だけの学校で授業を受け、隣の建物に男の姿が見えると、すぐに隠れる。

女は常にその姿を隠しながら生活しなければならない。夫以外の男に顔を見られるのはタブーとされる。お転婆な女の子のワジダが自転車を手に入れるために必死にアルバイトをし、コーランの暗唱で賞金を手に入れようとするのだが…。極端な世界というのは、それだけで物語になりえる。

■ストーリー

因習の中に生きる少女の姿を通して未来への希望を描き出したドラマ。お転婆な女の子・ワジダは、自転車を手に入れるために必死にアルバイトをする。そんな時、学校でコーラン暗唱コンテストが行われることになり、彼女は賞金を目当てに立候補する。

■感想
サウジアラビアがこんな世界だということに驚いた。今の時代、ネットでいくらでも情報が手に入る中で、女性に厳しい世界というのは成立するのか。外からの華やかな文化にあこがれる女の子たち。ただ、校長や親たちは古くからの因習を守ろうとする。

女だけの学校では、男に見られることをタブーとする。そして、自分を着飾ることも禁止される。さらには自転車に乗ることも…。お転婆なワジダは校長から要注意人物としてチェックされる。このがんじがらめな状況は、いくらなんでもひどすぎると思える流れだ。

ワジダの母親もまた古い因習にとらわれている。ワジダの行動に何かと文句を言う母親。自分自身も夫の気を引こうと必死になる。第二夫人をもつことが普通な世界。夫が第二夫人の元に入り浸ろうとも、それは自分に魅力がないからとふさぎこむ。

極度な男尊女卑の世界。男でなければ家系図にものらないというのは、そのさいたるものだ。段々と近代化の波が迫ってきてはいるが、それでも昔ながらの女としてのつつましさを忘れない母親。ラストにそれらの因習をぶち破るような行動をとるのが、すべての答えなのだろう。

ワジダは自転車がほしいために、苦手なコーランの暗唱を必死に練習する。その結果、賞金を手に入れることができたのだが…。自転車を買うと言うことが、校長の逆鱗にふれる。ここまで無慈悲な世界なのかと驚かずにはいられない。

おしとやかな女性となるには、自転車に乗ってはいけない。よく意味がわからないが、男の都合のよい女性を作り上げるために男が整備した因習なのだろう。現代にはそぐわない習慣であることは間違いない。それを現代も続けている世界があることに驚いた。

ラストの母親の行動がせめてもの救いだ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp