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　2017.2.3 　　 　　すべては仕組まれた出来事　【スタフ】

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評価：3
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■ヒトコト感想
移動デリを営む夏都。夏都はひょんなことから人違いによる誘拐事件に巻き込まれることになり…。最初は有名女優の過去のスキャンダルネタを消去するために、さまざまな人々が画策する物語かと思った。が、根本には別の要素がある。夏都と甥である中学生の男の子は、事件を解決しようと協力するのだが、事件の根本が二転三転してくる。

中学生アイドルのカグヤと甥が知り合いであったり、スキャンダルメールが保存されているスマホが行方不明になったり。そもそもの人違いで、夏都が誘拐された事件さえも仕組まれていたという流れだ。前半と後半で事件の方向性が大きく変わる。ここ最近の芸能スキャンダルを参考にしたのだろうか。スキャンダル情報の重要さが描かれている。

■ストーリー
街をワゴンで駆けながら、料理を売って生計をたてる女性、夏都。彼女はある誘拐事件をきっかけに、中学生アイドルのカグヤに力を貸すことに。カグヤの姉である有名女優のスキャンダルを封じるため、ある女性の携帯電話からメールを消去するという、簡単なミッションのはずだったのだが―。

■感想
夏都とその甥である男の子が、有名女優のスキャンダルメールを消去するために奔走する。今では有名女優であっても、若気のいたりで枕営業をしていたメールが残されていた。そのメールを消去するため、有名女優の妹であるカグヤやその取り巻きの男たちと共に行動する。

ひとつのメールをめぐっての争いは強烈だ。メールを消すためにあらゆる策略を練る。伏線として夏都の移動デリの場所にいろいろと問題が発生するなど、道尾秀介らしい複数の要素が複雑に絡みあい、最後にひとつになる物語だ。

ミステリーとしての要素はいくつかある。メールを保存していたはずのスマホがいつのまにかモックアップに変わっていたり。実はメールはすでに消去されていたなど、ひとつのデジタルデータをめぐっての争いは様々な要素が絡んでくる。

そこから、ひとまず誘拐騒動とスキャンダルメール騒動がひとつの結末を迎える。バタバタと大騒ぎし、移動デリの車がガス爆発したりと、夏都からしたら、間違いで誘拐されてから事件に絡んだ結果ということで散々な目にあっている。

ラスト間近で衝撃的な真実が明らかとなる。今まで夏都が考えていたことが、すべて誰かの目的のためにやらされていたということだ。あるひとつの目的のため、遠まわりで大掛かりな仕掛けが組み込まれていたということだ。

ちょっとした望みを叶えるために、どうすればよいのか。移動デリの車が大破すれば、姉に連絡がいくだろう。そうすれば…。ひとつの目的を達成するためにそこまで大掛かりな仕掛けをするのかという驚きと、そこまで追いつめられていたという衝撃を感じずにはいられない。

ミステリーとしては、最後のどんでん返しが強烈だ。