駿河城御膳試合 


 2017.12.1      シグルイは1試合目でしかない 【駿河城御膳試合】

                     

評価:3.5

■ヒトコト感想
駿河城御膳試合の第一試合を描いた「シグルイ」がかなり有名だ。自分も「シグルイ」とその他の試合も描いていたマンガ版「腕 駿河城御膳試合」は読んでいる。小説版は1試合がかなり凝集されているので、シグルイしか読んだことのない人には驚くかもしれない。シグルイの試合はただの1試合でしかない。その他の試合でも、強烈なドラマが生み出されている。

マンガを楽しめた人は、本作も必ず楽しめるだろう。頭の中ではシグルイのキャラクターたちが戦う。ただ、そこに至るまでのドラマがすばらしいため、小説作品として熱中してしまう。第一試合目がインパクトとして強烈なため、他の試合をマンガ化するのは厳しいだろう。

■ストーリー
駿河大納言忠長の御前で行われた十一番の真剣試合。城内が腥風悽愴と荒ぶその日、武芸者のだれもが破滅の淵へと疾走し、血の海に斃れていった。日暮れ、人去った城内は寂として声なく、人心の倦厭の気のみ残されていたという…。

■感想
なにより「シグルイ」が有名になったため、自分を含めて後追いで本作を読む人は多いだろう。シグルイの濃密な世界が描かれているかと思いきや、シグルイがただの一試合について描いていたことに衝撃を受けるかもしれない。

シグルイがかなりオリジナルとして広げていたのがわかる。本作ではひとつの試合として、あっさりと決着がついている。ただ、そのあっさり具合が潔いというか、そこにいたるまでの濃密な流れを感じることができる物語となっている。

その他の試合もかなり強烈だ。なぜ試合をするに至ったのか。他の試合については「腕 駿河城御膳試合」で多くの試合がマンガ化されている。強烈な印象に残っているのは、死が非常に身近だということだ。真剣での試合により死ぬことをいとわない。

切腹しての死や切られて死ぬことを恐れない。命を粗末にしているのではなく、死ぬことをどこか使命にしているようにすら思えてくる。さらには激しく鍛錬してきた剣の腕を、さらなる強者との真剣勝負で存分に発揮したいという思いなのだろう。

1試合目以外に印象に残っている試合は、間違いなく自虐的な男の短編だ。美しい者に切られることで快感を感じる男。そのくせ剣の腕はすこぶる良い。そのため、ギリギリまで切られ続けながら、最後には相手を切り倒してしまう。強烈な性癖だ。

これはマンガ版でも描かれていたのだが、小説版の方がよりそこに異常さを感じてしまう。美男子や美女に切られることで無情に喜びを感じる男。その先には死しかないのだが…。

真剣での異常ともいえる試合の数々だ。



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