スペル


 2016.2.19      老婆の逆恨みは強烈だ 【スペル】

                     
サム・ライミ 監督 / スペル コレクターズ・エディション (DVD)【2010/4/23】

■ヒトコト感想
逆恨みから老婆に呪われることになってしまった女性の悲劇が描かれている。冒頭、女はただ銀行業務として適正な対応をしたはずが、家を奪われたとショックを受けた老婆に罵倒され、あげくの果てには襲われることになる。まずこの老婆が恐ろしい。普通にしていても、目が片方白くしわしわでありながら、やけに高圧的な態度にでる。

そして、銀行の地下駐車場で襲いかかってくる。この老婆が生前から、まるで呪いの力でパワーアップしているかのように、老婆とは思えない迫力で車に乗る女性に襲いかかる。老婆を排除したあとは、その呪いに苦しめられることになる…。明らかなる逆恨みと、老婆の攻撃が常にグロテスクなことが本作の一番のポイントだろう。

■ストーリー

きっかけは老婆へのほんの小さな不親切、逆怨みで言い渡されたある「呪文(スペル)」が“無辜の銀行員の平穏な日常”を跡形もなく変えていく。何故?どうしたら?映画史にその名を刻むであろう「怪婆」の理不尽な脅威に怯えながら、主人公と辿る「恐怖の3日間」。タイムリミットの72時間で、あなたはその「言葉(スペル)」の呪いを解いて生き残ることができるか?

■感想
B級な雰囲気は当然のことながら、映像だけはやけに迫力がある。襲いかかる老婆は、死体となってからも女性に覆いかぶさり口から緑色のねばついた液体を吐きだす。老婆は登場時点から、すでに普通の老婆ではない。明らかに異質な雰囲気をかもしだし、この世のものではないようにすら思えてくる。

老婆に逆恨みされた女性は、ここまで老婆から攻撃されつつも、なぜか挫けることなく普通に生活している。この強心臓具合がすばらしい。周りに助けを求めるのだが、普通は、あそこまであからさまに老婆から攻撃を受ければ間違いなく病んでしまうだろう。

老婆の呪いを説くために、あらゆる手段を講じるが成果はでない。逆に助けるはずの者たちがやられていく始末。老婆の呪いを解く方法はひとつしかない。それは呪いをかけられたボタンを他人に貰ってもらうしかない。そこで女が考えたのは、呪いがかけられたボタン自体を老婆に渡すということだ。

土葬のアメリカだからこそでてくる発想だろう。墓を掘りおこし、ボロボロな老婆の死体の口の中に、呪いのボタンを押しこむ。お決まりどおり、そこでも動くはずのない老婆の死体がのしかかってきたりなど、とんでもない状況となる。

本作のポイントは、間違いなくグロテスクな描写の数々だ。老婆がいちいち口の中から気持ち悪い粘着質のドロっとしたものを吐きだし、それが女の口に入り込んだりもする。老婆が持っていたハンカチが、最後までカギを握ることになる。

老婆の強固な呪いは、ボタンを手放すことで逃れられたかと思いきや…。お決まりどおり、最後の最後で不幸な結末がまっている。映像的インパクトと、とんでもなくぶっ飛んだストーリーが、かなり強烈に印象に残っている。

スパイダーマンの監督の作品とは思えない雰囲気だ。



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