スーパー・チューズデー -正義を売った日-


 2015.5.20      大統領戦の泥臭い部分 【スーパー・チューズデー -正義を売った日-】

                     


■ヒトコト感想

アメリカの大統領選での選挙参謀が主役の作品。日本の選挙方式では本作のような作品は成り立たないだろう。若き選挙参謀のスティーブンがモリスを大統領にするため、あらゆる策略を練る。新聞記者やライバル候補の参謀とのやりとりなど、非常に緊迫感にあふれている。驚いたのは、仮にモリスが大統領になった場合、大統領の補佐としての地位が約束されるということだ。

候補者と一蓮托生なのは日本も同じ。自分が担いだ人物が落選しようものなら、とたんに失職する秘書のような感じだろうか。アメリカの政治の世界の強烈な謀略の数々。相手を追い落とすためにここまでやるか?というほど策略を張りめぐらす。日本の選挙制度とは違う、圧倒的な権力を持つ者を決める選挙の重要さも描かれている。

■ストーリー

大統領候補モリス(ジョージ・クルーニー)の選挙参謀スティーヴン(ライアン・ゴズリング)は、モリスを大統領にするため、持ち前の野心と誠実さで相手候補をリードする若きエース選挙戦最大の山場となるスーパー・チューズデーが一週間後に迫るなか、スティーヴンのもとに、ライバル陣営の選挙参謀ダフィ(ポール・ジアマッティ)が電話をかけてくる。

極秘の面会を求められ、一度は拒んだスティーヴンだが、何らかの情報提供をちらつかせるの言葉巧みな誘いに負けてしまう。ダフィの目的は、スティーヴンを自陣営に引き抜くことだった。時同じくしてスティーヴンは、選挙スタッフのインターンである女子大生モリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)と親密な一夜を過ごす。

真夜中にかかってきた彼女の携帯電話から聞こえたのは、聞きなれた男の声だった。そして、ある衝撃的な告白を口にするモリー。やがてこのふたつの出来事は、輝かしい未来が約束されたスティーヴンのキャリアを脅かし、想像を絶する事態へと選挙戦をねじ曲げていくのだった・・・。

■感想
アメリカ大統領の候補者を決める代表戦。若き選挙参謀となったスティーブンの選挙への取り組み方と、選挙に勝つために、はりめぐらされた謀略の数々。選挙に勝つために専門の職業が存在し、そこに人生をかけるスティーブン。

30歳の若造が、アメリカの大統領候補に対してアレコレと指示を出す。スピーチの原稿から会話するときの目線まで、下手すると大統領候補よりもカリスマ性があるように見えるスティーブ。モリスを大統領にすることで成り上がりを狙う。野心的なスティーブの行動が、その後の問題を引き起こすことになる。

スティーブンが敵対候補の選挙参謀であるダフィから引き抜きを打診される。そこでダフィに会いにいったことがすべての始まりだ。選挙に勝つためにはあらゆることをする。新聞記者はスクープを得るためにはなんでもする。選挙参謀は選挙に勝つためにはなんでもする。

スティーブンが上司に叱責され、その結果、とんでもない出来事がスティーブンに降りかかる。本作を見ると人を信じられなくなってくる。なんでもないことに、実はとんでもない謀略が隠されていた。相手を追い落とすためにはなんでもやるという強烈な意志を感じる作品でもある。

自分が成り上がるためには上司を売り、大統領候補であるモリスを脅迫したりもする。スティーブンは、自分が首になる恐れを感じると、最後の手段にでる。それまでのスティーブンのクリーンなイメージは、自分の親玉であるモリスを脅迫することでイメージは一気に急降下する。

選挙事務所でインターンとして働いていた女子大生のモリーとのかかわりがすべてなのだが、大統領候補のスキャンダルとしては、強烈なインパクトがある。正義を売った日というサブタイトルの意味は、結末まで見ることで理解できる。

アメリカ大統領選の裏方の泥臭い部分を感じることができる作品だ。



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