2016.9.28 怪物が正体をあらわすまでがピークだ 【SUPER 8】
■ヒトコト感想
少年たちが8mm映画を撮影している場所で、突然列車が激しく脱線した。そこには正体不明の怪物の姿が…。序盤から巻き起こる、すさまじい列車脱線の場面は衝撃的だ。そこで大破した列車の中から正体不明の何かがうごめいている。この正体不明の存在は、終盤まで明らかにならない。少年たちは、映画撮影に熱を上げ、ジョーは撮影で知り合った女の子アリスに恋をする。
少年の淡い恋物語の要素は多少あるにしても、メインは謎の生物の存在だ。軍がやってきて何事かを調査する。そして、町で奇妙な出来事が起こる。何かが起きていると分かっていても、奇妙な存在ははっきりとでてこない。長い触手の一部だけが見えていたり。人の叫び声だけが聞こえて、その後、人の姿はなくなっている。この正体不明感が物語に緊張感を生んでいる。
■ストーリー
愛する母を事故で亡くし、保安官の父と暮らすジョーは、悲しみを忘れるために仲間と8mm映画を撮っていた。そして撮影で知り合ったアリスに恋心を抱く。そんなある夜、彼らは米軍貨物列車の大事故に遭遇し、列車から逃げる“あるもの”を撮影してしまう。事故の後、次々に人が行方不明になり、軍は町を封鎖。少年たちは密かに町へ戻り遂に“あるもの”に遭遇する。それは永遠に忘れられない冒険の始まりだった...。
■感想
列車脱線事故のさなか、その列車に何か奇妙な生物が乗せられていた。奇妙な生物の正体は終盤まで明らかとならない。サブリミナル的に少し影が見えたり、触手の先っぽが見えたりと恐怖の片りんをのぞかせている。少年たちの映画撮影の現場で、偶然カメラに写り込んだ怪しい影。
正体不明のまま何かしら秘密を抱えた軍が人知れず動き出す。なんだかわからないからこそ恐ろしくなる。平和な田舎町のはずが、今まで起きたことのない事件が起こる。中盤になると、列車で怪物が移送されていたのははっきりするが、まだその全容は明らかとならない。
少年たちの映画撮影を通したちょっとした恋愛物語がポイントかもしれない。ジョーとアリスは良い雰囲気となる。それでいて恋愛のもつれのような展開にもなる。お決まりどおり主人公のジョーの周辺で事件が巻き起こる。アリスがさらわれ、ジョーの父親はひとり軍の秘密を解き明かそうと奔走する。
ジョーとその仲間たちの無謀ぶりがすさまじい。いくらアリスを助けるためとはいえ、子供たちだけで怪物の巣に乗り込もうなんてのは無謀すぎる。少年たちのちょっとした冒険にしては過激すぎる。
怪物の正体が明らかとなると…。なんだかとたんにトーンダウンしてしまう。ステレオタイプの怪物であり、想像を超えるようなものではない。宇宙から来たということで、最後は宇宙に帰ることを目的としているのだろう。怪物の正体が判明し、謎のキューブがひとつに固まりだすと、宇宙船へと様変わりする。
終盤は怒涛の展開となる。怪物の存在が恐怖の大本であっただけに、その姿を現した時に、どれだけインパクトを残せるかがポイントだろう。複数の触手からなるタコのような生物というありきたりな形は、なんだか少しがっかりした。
正体が不明の間は、なんとも言えない恐怖感がある。
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