スノーピアサー


 2016.5.12      実は隠れた良作 【スノーピアサー】

                     
スノーピアサー 【DVD】

■ヒトコト感想
世界が雪に覆われ、永久機関をもった列車の中で生活する人々。長大な列車により車両ごとに役割が決められ、そこで自給自足の生活をする。驚きなのは、車両の中には最下層の奴隷たちが暮らす車両もあれば、上流の者たち向けにバーや美容院やサウナの車両まであるということだ。

列車だけですべての生活を賄えるとは到底思えないのだが、車両ごとに世界が変わるのはなんだか不思議だ。生まれてからずっと列車の中で生活する人々。すべてを管理するのは先頭車両にいる者。なんだかマトリックスの世界のような、不思議さを感じてしまう。が、壮大な映像と雪山を疾走する列車のスピード感に圧倒されてしまう。そして、すべては仕組まれていたものだという結末も良い。

■ストーリー

2014年7月1日、人類は突如として絶滅の危機を迎えた。地球温暖化を食い止めるために散布された冷却物質は地球に氷河期をもたらし、永久機関を持つ列車「スノーピアサー」に乗り込んだ人々だけが生き残りに成功する。

それから17年後の2031年。「スノーピアサー」の乗客は前方車両の富裕層と後方車両の貧困層とに分けられ、「富裕層によって過酷な支配を受ける貧困層はカーティスをリーダーに、平等な社会を、そして人間の尊厳を取り戻すために革命を起こした―。

■感想
雪山を疾走する列車内で自給自足の生活をする。外の世界は氷と雪の世界であり、到底人が住めるような場所ではない。富裕層は列車の前方車両で優雅な生活をし、貧困層は後方でみじめな奴隷生活を送る。まず、この雪山を疾走するスノーピアサーがすさまじい。長大な列車の車両それぞれがなんらかの役割を果たしている。

貧困層ではひとつの車両に奴隷たちが詰め込まれる。かと思えば、富裕層向けにバーや美容院やサウナまで車両には存在している。さらには富裕層の子供たちを教育するための幼稚園まで。とんでもない世界であることは間違いない。

スノーピアサーの描写の衝撃度は、後になればなるほど高まる。外は雪だが列車の中は天国のような生活。ただ、すべてを支配するのは先頭車両にいる者。貧困層の者たちが反乱を起こし、前へ前へと車両をすすんでいくのだが…。作られた世界を感じるのは、狭い車両の中で人々が自給自足の生活をしているからだろう。

コントロールされた世界ということであれば、マトリックスの世界に近い。すべての鍵を握るのは先頭車両に存在するエンジンだ。すべての仕組みはラストに明らかになるのだが、かなり衝撃的な展開であることは間違いない。

貧困層が反乱を起こしたのはすべて仕組まれていたことだった。連れ去られた子供たちは、エンジンの部品代わりに働かされることになる。世界観といい、絶望的な流れといい、強烈なインパクトのある作品だ。映像的なインパクトもすさまじい。

かなり良い作品であることは間違いないのだが、あまり話題になっていない。列車内だけで17年も生活し続ける異常さを感じさせる描写が多々あり、その異常さが物語に強烈なスパイスとなっている。作中のキャラクターがポツリと列車の中で生活するのは頭のネジがぶっとんでいないとできない、的なことを話していたが、まさにその通りだ。

列車内での自給自足生活の衝撃はすさまじい。



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