スイミング・プール


 2016.10.26      ラストの場面は衝撃的だ 【スイミング・プール】

                     


■ヒトコト感想
小説家のサラが別荘で執筆活動をしているさなかに美女が訪ねてくる。そして、お偉いさんの娘である美女と同居することになる。自由奔放で男を連れ込み、好きなことをする美女。対照的にサラはひたすら執筆作業に打ち込むのだが…。サラの美女に対する思いが次第に変化していくのが面白い。最初は嫌っていた存在が、いつのまにか興味をもち、小説の材料としようとする。

サラと美女の関係に変化がおとずれるのは、美女が殺人事件を起こした時だ。サラは美女を助けようとする。そして、すべてが終わった時に、衝撃的な新事実が明らかとなる。ラストのオチを見ると、観衆は何かしら想像しなければならない。いったいどういうことなのか?明確な答えは示されないまま終わっている。

■ストーリー
フランソワ・オゾン監督が対照的なふたりの女の駆け引きを描いたサスペンスミステリー。執筆活動中の作家・サラの別荘にひとりの美女が訪ねて来る。最初は彼女を嫌っていたサラだが、次第にその不思議な魅力に惹かれていく。

■感想
真面目に別荘にカンヅメとなり執筆活動にいそしむサラ。そこに入り込むのが別荘の持ち主の娘である若い女だ。自由奔放で男を連れ込みSEX三昧の生活を送る。そんな女に最初はいらだちを感じていたサラが、次第に興味をもちはじめるのが面白い。

いつのまにか二人は友達のようになり、女のボーイフレンドと共に酒を飲んだりもする。そして、サラは女の行動を盗み見ることで、小説の材料としようとする。対照的なふたりの女の駆け引きには、しびれるような緊張感がある。それは仲良くなっても根本的にはなくなることはない。

サラと女の関係はだんだんと変化していく。まるでサラを母親のように慕う女。そして、サラもまんざらでもない。女の自由奔放な男関係だけは納得がいかないようなそぶりを見せるサラ。女が連れてくる男の中には、サラと良い雰囲気になる男もいる。

サラが期待する中で、その男もまた女のとりことなる。このあたり、サラの心境は見えない。女に激しく嫉妬しているのか、それとも…。別荘で殺人事件がおこると、サラはすぐさま美女と協力して死体を隠そうとする。サラにとっての女の存在というのが、最後までよくわからなかった。

ラストの場面は強烈だ。サラが小説を書きあげ、出版社へ向かうと、そこには別荘の持ち主とその娘がいた。最後の場面を見ると、今までのサラと女の関係がなんだったのがわからなくなる。女はサラが作り出した妄想なのか、それとも…。

ラストシーンの説明が明確にされないまま、物語は終わっている。そのため、観衆は女が何者だったのかと考えなければならない。作中にはっきりとしたヒントはない。ただ、自分の中ではなんとなくだが、サラの妄想が美女を作り上げたのでは?と思った。

ラストの展開は非常に衝撃的だ。



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