サブウェイ123 激突


 2015.6.2      激しく上げ下げする犯人の感情 【サブウェイ123 激突】

                     


■ヒトコト感想

ニューヨークの地下鉄が何者かにハイジャックされた。犯人の目的は何なのか?地下鉄の司令室職員のガーバーが最初に対応したことから、その後も犯人との交渉役となる。地下鉄を駅間で止めて、車両内の乗客を人質として身代金を要求する。警察の特殊部隊に包囲されることが前提の計画であり、無事逃げおおせるとは到底思えないのだが、犯人グループの自信満々な態度が、何かあるのでは?と観衆をくぎ付けにする。

犯人グループのリーダーであるライダーが強烈な個性を放っている。底を見せないというか、何を考えているのかわからない。突然激怒したかと思うと、要求に従わない場合は、脅しではなくあっさりと人質を殺したりもする。この手の作品では、本作のように犯人のキャラクターに魅力があれば面白くなる。

■ストーリー

ニューヨーク地下鉄。1時23分列車がハイジャックされた。ライダーと名乗る男(ジョン・トラボルタ)の要求は1000万ドル身代金を用意するのはニューヨーク市長、人質は19名、残された時間は59分間。さらに、交渉相手にはただの地下鉄職員ガーバー(デンゼル・ワシントン)を指名・・・。犯人が仕組んだ完璧なシナリオ通りに「事件」が動き始めるが―――!?

■感想
ニューヨークのど真ん中で地下鉄をジャックする。犯人グループは武装しており、乗客が人質だとしても、無事逃げおおせるとは思えない。それでも自信満々なライダーが不気味だ。偶然、最初の通信をうけたガーバーがその後ライダーとの交渉役となる。

交渉の過程で、ガーバーが収賄の容疑で降格され、今の地位にいることがわかると、ライダーはそこをいやらしく突いてくる。この流れが秀逸だ。真実を話せとライダーに脅され、話さなければ人質を殺すと言われる。ライダーは宣言どおり行動する、という印象があるだけに、ガーバーは苦しみながら真実を語る。

ライダーたちの狙いが明らかとなる。その先には、投資による巨額の利益という目的があった。その後、警察の特殊部隊がはずみで発砲し、犯人のひとりを射殺してしまうというお粗末な展開から、事態は急激に動きだす。ネットを意識した作品であることは間違いない。

地下鉄の移動経路や身代金を運ぶ警察の車両が今どこにいるかなどの表現方法が、いかにもゲーム的だ。そして、人質のひとりがビデオチャットを続けていたので、車両内の映像がリアルタイムにネットに流されることになる。当然、犯人たちもネットを駆使している。

圧倒的な迫力があるライダー。それが、いつの間にか、宗教的というか終末的というか、最後まで逃げ切ろうという勢いが薄れている。お決まり通り、身代金を運搬するカーバーが機転をきかせて、犯人一味を追い詰める。ラストはライダーとカーバーが向かい合い、「俺を殺せ」というライダー。

身代金など比較にならないほどの大金を手に入れたはずが、生きることに執着がないように思えるライダー。殺さなければ、殺されると思ったカーバーは…。ライダーの激しく上げ下げする感情の起伏が、そのまま物語の盛り上がりとなっている。

ライダーのキャラが秀逸だ。



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