すべては君に逢えたから


 2017.4.6      予定調和的な雰囲気 【すべては君に逢えたから】

                     
すべては君に逢えたから [ 玉木宏 ]
評価:3

■ヒトコト感想
6つの物語が交錯するオムニバス。それぞれの物語に明確な繋がりはない。登場人物がすれ違う程度の関係でしかない。いくつか物語がある中で、印象的なのは父親が余命わずかな家族の物語だ。やはり自分の立ち位置と関係ある物語により、感情移入できるのだろう。他の物語は、ごく普通のラブストーリーだ。

遠距離恋愛や経営者と劇団員の偶然の出会いなど、良くあるパターンと言えばそうだ。すべてがどこか優しい気持ちになる終わり方をしているのは良い。最悪の出会いをしても、遠距離で険悪になったとしても、どうせ最後にはうまくいくんだろう?という予定調和的な雰囲気があるので、そこまでドキドキワクワクすることはない。

■ストーリー
クリスマス直前の東京駅を舞台に、幸せを願う男女の6つの物語が交錯するラブストーリー。女性不信の男と夢に破れた女、最悪の出会いなのに惹かれ合う男女など様々な10人が織り成す愛の形を描く

■感想
6つの物語それぞれに個性がある。養護施設の子供が主役でサンタを待つ物語や、不治の病が見つかった男の物語など、クリスマスだからといって恋愛一辺倒ではない。ただ、メインは恋愛物語なのだろう。最悪な出会いをした経営者と劇団員の物語や、遠距離恋愛中のカップルの物語がそれだ。

その他の恋愛物語は、そこまで強く印象に残っていない。遠距離恋愛でお互いに時間がとれず険悪となる。非常に良くあるパターンで、そのまま別れるのが定番だろう。ただ、本作では予定調和的に安易に寄りを戻すパターンとなっている。

会社経営者と劇団員の最悪の出会いからの恋愛は印象深い。というか、高飛車な経営者と貧乏な劇団員のアンマッチな感じが良い。それがひょんなことから知り合いとなり、そこから繋がりができてくのだが…。


経営者の男がちょっと嫌な男風で、劇団員の女がやけに卑屈なのも物語を面白くしている。最終的には意外な繋がりからお互いが再会することになる。この後、二人がどうなるのかは不明だが、あまりうまくい
かないのでは?と思ってしまった。

最も強く印象に残っているのは、余命わずかとなり、仕事を辞め家で療養する男の物語だ。小学生の息子になかなか自分のことを切り出せない。仕事を辞めた父親に対して子供のあたりは強い。父親が優しい顔をして常に何かを悟ったような言葉を告げるのが涙を誘う。

ふと、自分だったらどうなるかを考えてしまった。安易なことかもしれないが、すんなり感情移入できるのは年代や立場が近い場合だろう。ありがちだと十分わかってはいるが、それでも感動してしまう。

どれかの物語には感情移入できる?だろう。



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