捜査官X


 2015.7.26      深い考察と鋭い観察眼 【捜査官X】

                     


■ヒトコト感想

ただの職人が指名手配中の凶悪強盗犯を返り討ちにしてしまう。ただの職人であるリウが、どのようにして凶悪犯たちを殺したのか。リウを調査するのが捜査官シュウであり、リウが拳法の達人なのではないか?という疑いをかける。序盤から中盤まではリウの正体不明な部分を、シュウがあれこれカマをかけながら調査するという流れだ。

リウを崖から落としたり、後ろから刃物で切りかかったり。シュウが捜査官として優秀なのか、それともダメなのかこの時点ではよくわからない。ただ、深い考察と鋭い観察眼はただものではない雰囲気をだしている。さらには、針により体や精神のケアをするなど、特殊な技能も持ち合わせている。リウの正体が明らかになると、シュウの存在感が急速に薄まるのはしょうがないことなのだろう。

■ストーリー

山奥ののどかな村で起こった強盗殺人事件。事件を担当するため村へ訪れた捜査官シュウは、死体を調べるうちに彼らが指名手配中の凶悪犯であることを知る。当時事件現場には、製紙工場に勤める職人リウが偶然居合わせており、リウの必死の応戦により2人は打ち所が悪く死亡したのだという。

正当防衛の末に強盗犯を退治したリウは村の英雄となったが、シュウは入念な検死や現場検証を重ね、これが偶発的な正当防衛ではなく、リウが致命傷を意図的に狙ったのではないか、と推測する。常人離れした知識、直感、想像力を総動員させ難事件解明に挑むシュウは、やがてリウの隠された過去、そして村全体をも脅かす驚愕の真実へと辿りつく―。

■感想
ただの職人が強盗に入ってきた凶悪犯二人を返り討ちにする。偶然だというリウ。それを怪しみ信じないシュウ。正当防衛で悪人を倒したということで村の英雄となるリウ。シュウの観察眼はそこに何か怪しげなものを感じてしまう。

リウが善良な村人のふりをすればするほど、シュウは怪しみ付きまとう。リウとシュウの騙し合いを今後の展開がわからずに見るのは面白い。本当にリウはただの職人なのでは?とすら思えてしまう。シュウ役の金城武のちょっとおとぼけな表情が、絶妙なバランスでリウへの疑う気持ちを表している。

シュウの常人離れつぃた推理力と観察力を、映像として描いているのが面白い。シュウが眼をつけた場所はカメラがズームしそこに何かしらの変化がある。シュウは針士としての能力もあり、自分に針を突き刺し、体調や精神面をケアしたりもする。

針を刺した瞬間に、血管の中を流れる血流が変化し、体に異常がおらわれる。シュウ絡みの多数の演出は思わず目が釘付けになる。それは、のちにリウの正体が判明し、激しい格闘戦になってからの映像的なインパクトも同様かもしれない。

リウの正体が明らかとなってからは、ひたすらリウの戦いが描かれている。組織から抜けるために別人となるべく努力してきたリウ。最後の最後で正体がばれた際の衝撃的な行動には度肝を抜かれてしまう。そして、リウの父親の存在もまた衝撃的だ。

恐らくは50歳を超えているであろう肉体で、リウを圧倒する。刃物をも通さない強靭な肉体。こぶしだけで人を殺せる力。こめかみを一突きした瞬間に、目が血走り倒れるのは、さながら北斗の拳の秘孔のようにすら見えてくる。終盤の激しい戦いには思わず見入ってしまう。

一番存在感があるのは、間違いなくリウの父親だ。



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