2017.5.12 残酷で悲しい物語 【スノー・エンジェル】
スノー・エンジェル [ ケイト・ベッキンセール ]
評価:3
■ヒトコト感想
非常に残酷な物語だ。高校生のアーサーを中心に描かれた物語だが、いつの間にかアニーとグレンの夫婦間の物語となっている。アーサーは学校で出会った女の子に恋をする。バイト先にいる年上のアニーにも惹かれている。アーサーの両親は別居中で複雑な家庭ではある。アニー夫婦の状況が壮絶なため、主役であるアーサーのインパクトが段々と弱まっている。
アニーと夫のグレンの関係は不幸という一言で片づけることは難しい。複雑に絡み合う人間関係。アニーとグレンのひとり娘がアニーの不注意で亡くなってから、事態は大きく変化していく。誰が悪いわけでもないが、娘を失った親はどこかに怒りをぶつけたい。非常に暗いラストだ。
■ストーリー
学校で出逢った女の子と恋に落ちるも、なかなか素直になれない高校生のアーサー。そんなアーサーが一緒に中華料理店でアルバイトをしているアニーは、高校時代から付き合っていたグレンと別れ、娘と2人の生活を始めようとしていた。グレンは何とかして3人で新生活を始めようとするが、そんなある日、誰もがもう過去には戻ることの出来ない事件が起きる…。
■感想
高校生のアーサーは、両親が別居に踏み切る中でも女の子と出会い恋をする。アーサーは絵に描いたような健全な男子高校生だ。バイト先の主婦に憧れてみたり、浮気をしている父親に反発してみたり。
アーサーの高校生らしい恋愛というのが、アニー夫婦のドロドロとした関係との対比となり、よりきらびやかに見えている。アニーとグレン夫婦は、グレンがアニーに接近禁止令を出されるほどの関係となっている。すでに夫婦関係は終わってはいるが、娘の父親としてグレンが関わってくる。
本作の中で一番の問題児は間違いなくアニーだ。親友の旦那と不倫し、親友との関係が崩れる。自業自得だが、その怒りを娘にぶつける。自己嫌悪をくりかえすアニーはまさにダメな母親の典型だろう。娘を怒鳴りつけると、次の瞬間には怒鳴った自分に腹を立てる。
疲弊したアニーが娘から目を離したすきに…。アニーの娘の死が最も衝撃的な出来事だ。子供がアニーとグレンの繋がりというのがあり、それが切れた時、ふたりは出会う必要はないのだが…。人は信じられないような出来事に直面した時、その怒りを誰かにぶつけたいのだろう。
グレンは、娘が死んだのはアニーに責任があると考える。アニー自身も自分を責めている。非常に不幸な出来事だが、そこから立ち直るためには、周りの手厚いサポートが必要なのだろう。アーサーにも少なからずショックを与えた出来事。
それでもアーサーは健全な高校生らしく彼女といちゃついたりする。二つの家族の関係が非常に対照的に描かれており、幸せな家庭と不幸な家庭はこうも残酷な結末を生むのかと衝撃を受けずにはいられない。ラストの流れはすさまじい衝撃だ。
不幸な状況は、すさまじいインパクトがある。
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