2016.11.10 プロレスラーは本当は強い 【新・餓狼伝 巻ノ二】
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■ヒトコト感想
強者同士の夢の対決が描かれているバーリトゥード・チャレンジ。ここでは丹波文七とカイザー武藤の対決があり、堤城平とグレート巽の対決がある。プロレスラーの戦いがメインに描かれている本巻。カイザー武藤はジャイアント馬場をイメージしたキャラであり、グレート巽はアントニオ猪木なのだろう。
プロレスラーらしい戦い方というのが、相手の技を交わすことや防御するのではなく受けて、そこから反撃するという流れだ。それぞれ個人では強烈な強さのエピソードが描かれているため、これほどの強さをもった男同士の対決となると、どちらが勝つのか。ワクワクしながら読みすすめた。結果として番狂わせはないのだが、戦いの過程は面白い。
■ストーリー
好カード連発の東洋プロレス主催「バーリトゥード・チャレンジ」もいよいよ大詰め。姫川勉に敗れて以来、ついに丹波文七がリングに帰ってきた。相手は“ザ・プロレスラー”カイザー武藤。最終マッチは堤城平と巽真が激突。
■感想
本巻では、堤城平とグレート巽の戦いがメインなのだろう。どちらも強いが巽の強さは松尾象山に匹敵すると言われているため、巽が勝つのは想定できる。ただその戦いは衝撃的だ。堤のひたすらまっすぐに強さを求める心は、行き過ぎており、異常とすら思えてくる。
堤は気絶したとしても、無意識状態であっても脳の中では闘い続けている。病院のベッドで眠った状態でも、こぶしをふるう。そして、このままでは疲弊し死んでしまうとまでなる。ここまでの格闘バカに勝ってしまう巽のすごさが際立った。
文七とカイザー武藤の戦いは、カイザー武藤のプロレスらしい戦いがメインとなっている。相手の攻撃を受け戦う武藤。文七の重い打撃すらも受け反撃する。プロレスラーは肉体がとんでもなく強い。最近の総合の傾向としては、プロレスラーは弱いイメージがあったが、本作の中ではプロレスラーの受ける強さと、底知れぬ怖さが描かれている。
ジャイアント馬場をイメージしたカイザー武藤。馬場が強いとは思わないが、プロレスラーが本当は強いと連呼されると、本当に強いと思えてくるから不思議だ。
松尾象山と堤城平のエピソードも良い。ヤクザたちと対決する際に、堤の無鉄砲な立ち回りも強烈だが、なにより松尾象山の行動がすさまじい。ゆっくりと相手に歩み寄り、丁寧な言葉だが指一本で相手をのたうちまわらせる。
金属バッドをこぶしで割ったりとヤクザとの対決での圧倒感はすごい。そこに新たに登場した磯村の弟子の存在が加わり、また新たな強者により序列がわからなくなった。はたして磯村は松尾象山と比べるとどの程度のレベルなのだろうか。
強者同士の対決というのは、結果が想定できたとしてもワクワクしながら読むことができる。
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