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 2016.5.19      無人島生活と引きこもりの出会い 【幸せの1ページ】

                     
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■ヒトコト感想
引きこもりのベストセラー小説家と無人島でたくましく生活する少女の物語。まずは、無人島で生活する親子が衝撃的だ。自然に満ち溢れ、アザラシやその他の動物たちと原始的な生活をする。かと思うと、ソーラー発電により電気がきていたり、ネットが繋がりパソコンが使えたり。自給自足がメインだとしても、それなりに生活できているのがすごい。

一方、文明に囲まれた小説家は家から一歩もでずに家の中で創作活動をしながら生活する。極度の潔癖症の気もあるようで、郵便物を受け取ることすら拒否する状態だ。そんなふたりが少女のメールから繋がることになり、少女を助けるために小説家は外にでていくことになる。ジョディ・フォスターの神経質な小説家が秀逸だ

■ストーリー

ベストセラー冒険小説家のアレクサンドラ・ローバーにはある秘密があった。それは、自分が書く勇気あるヒーロー、“アレックス・ローバー”からは想像もつかないほど、問題を抱えた人物だということ。対人恐怖症で外出恐怖症、おまけに極度の潔癖症の引きこもりだったのだ!しかし、ある日、南の島で暮らす少女ニムからSOSのメールを受け取り、彼女の生活は一変する・・・!

■感想
無人島に住む少女ニム。父親が海に調査に出てから戻らないため、メールで伝説のヒーロー、アレックス・ローバーに助けを求める。年齢的には小学校低学年くらいの少女が無人島でたくましく生活する。アザラシを相棒にして、無人島に他人が入り込まないように画策する。

ニムたち親子が生活する場所はまったく無人島にみえない。ソーラー発電で電気を引き、ネットを繋いだパソコンまである。今の時代、パソコンさえあれば無人島で生活することになんの問題もないのだろう。それは引きこもり小説家についても同じことが言えるということだ。

引きこもり小説家は秀逸だ。作家活動として必要な情報はすべてネットで手に入れる。気になる情報はメールで収集し、家から一歩も出ずにベストセラー作家として生活する。届け物があったとしても玄関先に物を置かせて、あとで受け取る。

潔癖症であり対人恐怖症のローバーが、ニムのSOSのメールを見て一大決心をする。極度の引きこもりの作家が外にでる決意をする材料としては弱いような気もするが…。何年ぶりかの外出が、いきなり人知れず存在する無人島というのはかなりのインパクトがある。

ニムとローバーの出会いもさることながら、ふたりが対照的なのが良い。ニムは年齢からすればかなりたくましい少女だ。対してローバーは弱弱しい。宝物のような無人島の生活を守るために、ふたりが奮闘する。父親が帰ってきた際のちょっとした感動物語はすばらしい。

そして、ニムのたくましさに感化されローバーが変わっていく様も見ていて心地良い。ネット社会の良い面と悪い面が両方描かれている作品だろう。ニムもローバーも極端すぎるような気もするが…。

無人島生活と引きこもり。どちらかを選べと言われると…、かなり悩んでしまう。



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