2016.10.25 強者たちの強さの序列がはっきりした 【獅子の門 鬼神編】
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■ヒトコト感想
獅子の門の完結編。とうとうあの強者たちが対決する。今までこれでもかと強者のエピソードを盛り上げてきた者たち同士の対決。特にトーナメントでは、明らかにグレイシー柔術を連想させるマリオ・ヒベーロが、次々と強者たちを倒していく。戦い方にしても、まさにすべてが命がけだ。のっそりとした風貌でありながら圧倒的な肉体で強さを示す鹿久間源一は強烈だ。
その強さのレベルがどこまで高いのかが明確に示されず、強者との比較でしかイメージできない。そのため、羽柴彦六や久我重明レベルではないにせよ、そこに近づくレベルであろうことは想像できる。彦六と重明の戦いで終わる本作だが、印象に残っているのは、間違いなくヒベーロと鹿久間源一の戦いだ。
■ストーリー
武林館が主催する総合格闘技ルールのトーナメント、佳境へ!投げ技にこだわりぬく柔道王・岩神京太。敗北の記憶とたゆまぬ稽古を心身に刻む鳴海俊男。ブラジリアン柔術界最強マリオ・ヒベーロ。そして、周囲の人々を振り回す格闘ジャンキー・鹿久間源―。激闘の果て、彼らの雌雄が決するとき、遂に、羽柴彦六と久我重明の拳が相まみえる!不世出の格闘群像劇、万感胸に迫る完結編!!
■感想
トーナメントも佳境に入り、本当に強い者だけが残っている。そんな中でも、その強さのレベルが未知数な岩神やヒベーロ、そして鹿久間源一。そして本シリーズの頂点を争う彦六と重明の対決で終わりを迎える。まずトーナメントは予想通り接戦が続く。
その中で勝ったとしても強烈なダメージが残っている。トーナメントで最も印象に残る戦いは、鹿久間源一とマリオ・ヒベーロの戦いだ。特にマリオは肉体派の強者たちをあっさりと退けてきただけに、グレーシー的な無敵な強さをイメージしていた。
鹿久間源一は後半に登場した影の主役と言って良いだろう。圧倒的な力で相手をねじ伏せ、手加減を知らない。ヒベーロとの対決で金玉をつぶされたとしても、喜び勇んでヒベーロを殺そうとする。この二人の凄惨な戦いは、正直言うと、彦六と重明の対決よりも印象深い。
そのほかにも重明が数々の強者とぎりぎりの戦いを繰り広げる。あの暗器の重明がこれほどのダメージを受けるということで、相手の強さが表現されている。結局のところ、頂点を争うのは彦六と重明だが、後を追うものもレベルは近いということなのだろう。
彦六と重明の対決ではっきりと決着がつけられている。予想外の結末だ。どちらが主役寄りかというと彦六かと思っていたのだが…。おそらく作者的には、キャラ立ちしている方を勝たせたかったのだろう。重明もそうだが、結局のところ鹿久間源一も勝ち続けている。
明らかに各上と思われる相手に対しても、鹿久間源一が勝ち残っている。底知れない強さというか、重明と戦ったとしても、ボロボロになりながら食らいつくように重明を倒してしまいそうな、そんな勢いを感じてしまう。
シリーズとしてきっちりと結末が描かれているのはすばらしい。
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