戦火の馬


 2016.3.10      強烈な軍隊の強引さ 【戦火の馬】

                     
戦火の馬

■ヒトコト感想
アルバートに育てられた馬ジョーイを通して、戦争の悲惨さが語られている。最初は役立たずと思われた馬が、アルバートの調教によりたくましく成長する。戦争が始まると、馬を軍に徴収され、アルバートと離ればなれになる。そこから馬を通して戦争の状況が語られることになる。ジョーイを軍馬として使っていた軍人は戦死する。

ジョーイは敵の馬となり、そこから様々な人の手にわたっていく。戦争とは関係のない田舎で孫と暮らす老人の手に渡り、そこからまたさらにドイツ軍に徴収される。最終的にはドイツ軍と戦うアルバートたちの前にジョーイが現れる。印象的なのは、戦時中の軍側の有無を言わさぬ迫力で物資を調達する部分だ。この強引さが戦争なのだろう。

■ストーリー

英国の貧しい農家で、少年アルバートに愛情深く育てられた美しい馬、ジョーイ。だが第一次世界大戦が勃発し、ジョーイは軍馬として最前線へ送られる。様々な人々と出会いつつ、フランスからドイツへ、敵と味方の隔てを越えてジョーイは駆け続ける―ただ生き抜くために。その頃、年月を経て屈強な若者に成長したアルバートは、一兵士として砲弾轟くフランス激戦地の塹壕に身を潜めていた―ただ生き抜くために。

■感想
貧しい農家の少年アルバートは、美しい馬ジョーイを育てる。戦争が始まると軍にジョーイを徴収されてしまう。そこからジョーイを軍馬として利用するが、そこで軍人は戦死してしまう。馬だけが生き残り敵の軍に徴収される。

そこから美しい馬のジョーイは別の軍に徴収されるのだが、そこでも新たな敵に襲われ馬だけが残る。常に馬の持ち主が戦死しており、次々と持ち主は変わっていく。戦争の悲惨さと、戦争において馬がどのように酷使されているかが描かれている。

まわりまわってジョーイは、田舎で静かに暮らす老人と孫の場所へとたどりつく。そこで一瞬だけ平和に暮らすことができるが、すぐにドイツ軍になにもかも徴収されることになる。このあたり、戦時中での容赦ない軍の強制力が働いてくる。

平和に暮らす老人と孫の作ったジャムや鍋まで残らず奪い取っていく軍。馬を通して、立場は変われど常に軍は強制力を働かせているというのがよくわかる。フランスとドイツの闘いにおいて、どちらかと言えばドイツが悪者として描かれているが、内情としてはどちらも変わらないだろう。

アルバートはフランス軍としてドイツ軍と戦うことになる。そこでジョーイと再会することになる。偶然とはいえ、ドイツ軍とにらみ合っている状況で、目の前にジョーイが飛び出してくる。感動の再会となるパターンなのだが、戦争で離ればなれになった状況からの再会なだけに感動をさそう流れとなる。

強烈なインパクトはないのだが、ジョーイを通して戦争の悲惨さと無慈悲さ、さらには敵や味方に関わらずどちらも被害を受ける可能性があることが強烈に描かれている。

軍部の強引さを感じずにはいられない。



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