世界の果ての通学路


 2015.9.23      通学中に死の危険 【世界の果ての通学路】

                     


■ヒトコト感想

世界にはここまで危険な道を通ってでも学校に行きたいと願う子供たちがいるのだと衝撃を受けた。特にケニアのジャクソンの通学路はすさまじい。どこが道なのかまったくわからない。ただ、ひたすらなんの目印もない草原を歩いているように見える。野生動物に出くわすと、下手すれば死んでしまう。

15キロの道のりをひたすら歩くなんてのは、小学生には辛すぎるように思えるが、ジャクソンは勉強したいがために必死に遅刻しないよう小走りになる。世界には、勉強できることが幸せだと思う子供たちが沢山いるのだろう。本作を見ると、純粋に大変だなぁという感情がわいてくる。それが日本の小学生に対する、甘えすぎているという気持ちに繋がることはない。

■ストーリー

<ケニア 片道15km 2時間>野生のキリンや象が生息するサバンナを毎日駈け抜けるジャクソン(11歳)夢:パイロット<アルゼンチン 片道18km 1時間30分>山羊飼いの仕事を終えてから、愛馬で学校へ向かうカルロス(11歳)夢:獣医<モロッコ 片道22km 4時間>女子に教育は不要とする古い慣習が残る村から、寄宿学校に通うザヒラ(12歳)夢:医師<インド 片道4km 1時間15分>生まれつき足が不自由で、弟たちに車椅子を押されて登校するサミュエル(13歳)夢:医師

どうして彼らはそんなに苦労してまで学校に行くのだろう?別の大陸、違う言語、宗教、生活環境の中で暮らす4人の子どもたちは、真っ直ぐな瞳で同じ思いを語る。「夢をかなえたいから」世界の果ての通学路から、希望に満ちた地球の今と未来が見えてくる。

■感想
野生動物の襲撃におびえながら通学する子供たち。女が勉強する習慣のない国で勉強するために、片道22キロを歩き続けるモロッコのザヒラ。生まれつき足が不自由で弟たちに手作りの車いすを押してもらい学校へ通うインドのサミュエル。

馬に乗り学校へ通う羊飼いの子供。みな必死な思いで学校へと通う。中にはあまりに遠いため、週末だけ家に帰り、月から金まで寮で暮らす小学生もいる。世界の子供たちの勉強に対する熱量というのを感じずいはいられない作品だ。

危険な道のりだろうと、どれだけ時間がかかろうとも、学校へと通う子供たち。強烈なのはやはり命の危険があるケニアのジャクソンだ。年に何人かの子供たちは通学中に象に襲われて死んでいるという衝撃。両親も子供が無事学校へ登校できるよう祈りをささげる。

もはや、日本人の常識は通用しない領域だ。広大なサバンナの大地をひたすら学校を目指して小走りし続ける。そうまでして学校に行きたいのか?と思わずにはいられない。勉強こそが未来を切り開くと考えているのだろう。

この手の作品を見ると、必ず日本の子供たちは甘えている、ケニアの子供を見ろ!と言いだす人がいるだろう。確かに通学に関してはケニアと比べ物にならないほど日本は恵まれている。通学以外にも、勉強する上ではかなり日本は恵まれているだろう。

ただ、日本には日本の子供たちなりの大変さがある。恐らくだが、ケニアには受験戦争はないし、くだらないイジメもないだろう。どちらの小学生が幸せだとは一概には言えない。考え方によっては、やることが単純化されたケニアの方が小学生にとっては幸せなのかもしれない。

通学中に象やキリンと遭遇する。それは動物園での楽しさとは対極にある恐怖なのだろう。



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