酒井家のしあわせ


 2015.2.1      父親が男と出て行く衝撃 【酒井家のしあわせ】

                     


■ヒトコト感想

ユースケ・サンタマリアが継父で友近が母親、妹がいる家庭の長男目線で始まる本作。ごく普通の家庭で、母親の再婚相手である父親とは特別な問題はない。中学生男子が普通に生活すると、ごく当たり前に遭遇するような場面が目白押しとなる。口うるさい母親、事なかれ主義の父親、うるさい妹。親友がいて、ちょっと気になる女の子から言い寄られたりもする。

そんな日常が、ある瞬間から様変わりする。父親が突然出ていくと言う。理由は好きな男ができたからだと…。息子としては非常に複雑だ。口うるさい母親は怒り狂い、妹は戸惑う。自分はどうすればよいかわからない長男。日常に突然起きたアクシデントが面白い。家庭のあたふた加減も見ものだ。

■ストーリー

一見ごく普通だが、少し複雑な家庭・酒井家。母・照美の連れ子である次雄は、最近そうした家族関係を疎んじていた。そんなある日、父・正和が好きな男ができたと告白して家を出て行き…。

■感想
ごく普通の家庭だが、やはりどこか面白要素がある。関西弁全開の母親と、エセ関西弁の父親。若干、複雑な家庭ではあるが普通といえば普通だ。裕福なわけではないが、貧乏というわけでもない。父親と息子の関係はぎくしゃくしているかというと、そうでもない。

中学生くらいの子供は、父親に対してどこかよそよそしくなるのは当然のことだろう。ごく普通の幸せな家庭のはずが、父親が家を出ていくことで大きな変化がおとずれる。また強烈なのが、出ていく理由だ。

父親の会社の同僚で、酒井家にも頻繁に出入りしていた男がいた。父親はその男のことが好きだからと、家を出て行ってしまう。かなり強烈な出来事だ。思春期の中学生男子にとっては、父親が女絡みで出ていくのも強烈だが、さらに上をいく理由だ。

相手の男のことも良く知っているだけに、酒井家の残された面々は複雑だろう。一瞬、自分がこの長男の立場だったら、と考えてしまった。今までの生活がすべてまやかしだったのかという思いと、騙されたという怒りの気持ちがわいてくるだろう。

物語の後半となると、父親が出て行った真の理由が明かされることになる。ごく普通の家庭に突然起きた衝撃的事件だが、ふたを開けてみれば「なぁーんだ」という雰囲気が流れている。何の波風も立たない、常に平坦な家庭などありえない。

ちょっと面白く、そしてほんわかとする家庭の物語だ。家族の中でも圧倒的な存在感を放っている友近が、最後の最後で良いところをすべて持って行っている。酒井家にあこがれる、なんてことはないが、こんな家族もありなのだろう。

みんなそこそこ演技派なのが良い。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp