竜馬の妻とその夫と愛人


 2017.2.16      竜馬暗殺のオチが最高だ 【竜馬の妻とその夫と愛人】

                     
評価:3

■ヒトコト感想
坂本竜馬が暗殺され、残された妻のおりょうとその再婚相手である松兵衛、さらにはおりょうの愛人であり竜馬によく似た虎蔵の物語だ。竜馬の部下で政府の役人となった覚兵衛により、おりょうを竜馬の13回忌に出席させようとする。が、おりょうの再婚相手である松兵衛が的屋ということで難色を示し、ごちゃごちゃとやりとりしている間におりょうの愛人である虎蔵と関わりをもつ。

まずこの覚兵衛が良い。竜馬を心酔し、そのイメージを損なわないためにおりょうには毅然してもらいたい。が、おりょうに対する思いもある。おりょうがあからさまに愛人の虎蔵と仲良くしているのを目にし、松兵衛をたきつけたりもする。そして、ラストのオチでの松兵衛と覚兵衛のやりとりが最高だ

■ストーリー
時は明治13年。維新の功労者、坂本竜馬の13回忌に出席させるため、新政府の役人でかつての竜馬の部下・覚兵衛(中野貴一)は竜馬の妻であったおりょう(鈴木京香)を尋ねる。おりょうは甲斐性のない情けない男・松兵衛(木梨憲武)の妻となっていたのだが、腰が落ち着かず、竜馬に似た愛人の虎蔵(江口洋介)と駆け落ちを企てていた…。

■感想
竜馬の功績により維新は成功し、竜馬の死後もそのイメージを守ろうとする者たちがいた。竜馬の妻であったおりょうが再婚したはよいが、その再婚相手がうだつのあがらない的屋であった。さらには、愛人を作り自由奔放に暮らす。このおりょうの行動の数々に政府の役人となった竜馬の部下覚兵衛は良い気分ではない。

おりょうを竜馬のイメージを崩さない女とさせるため、覚兵衛は奔走するのだが…。おりょうの再婚相手である松兵衛が頼りなさ満点だ。さらには目の前で、妻が愛人と浮気しているのを見て見ぬふりをする。情けない男の典型として松兵衛が描かれている。

現状を認識した覚兵衛は、松兵衛をたきつけて、せめておりょうには愛人との関係を精算させようとする。亡き竜馬によく似た愛人の虎蔵。男らしさもあり、いつのまにか覚兵衛は虎蔵に肩入れしてしまう。松兵衛と虎蔵のおりょうをめぐる争いは続くのだが…。

覚兵衛の存在が良い。あるときは松兵衛を応援したり、ある時は虎蔵の、竜馬を思い出させる男らしさに引き込まれたり、またある時はおりょうの魅力に困惑させられる。覚兵衛の存在がコメディとしての面白さを増大させている。

オチは最高だ。結局のところ虎蔵は竜馬かぶれのただの情けない男とわかり、おりょうは愛想をつかす。だからと言って松兵衛とラブラブに戻るわけでもない。本作で最も悪いのは、あちこちで男をたぶらかそうとするおりょうの存在だろう。

それに気づいた男たちは、それでもおりょうを守ろうとする。ラストでは松兵衛が竜馬とおりょうを取り合ったエピソードを語る。そして…。竜馬暗殺のきっかけを作ったのが松兵衛だと知った時の覚兵衛の表情が最高だ。

松兵衛の情けないキャラと覚兵衛のくそまじめだが抜けているキャラが良い。



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