リリィ、はちみつ色の秘密


 2017.6.17      強烈な黒人差別の時代 【リリィ、はちみつ色の秘密】

                     
リリィ、はちみつ色の秘密<特別編> [ ダコタ・ファニング ]
評価:3

■ヒトコト感想
拳銃の暴発で母親を殺してしまったリリィ。そのトラウマを抱えたまま、乱暴な父親とうまくいかない生活を送る。黒人差別が激しい時代のアメリカを舞台にした物語。母親に捨てられたと思い込むリリィは、母親のルーツを探す旅にでることに…。黒人だからと暴力をふるわれたお手伝いのローレンスと共に旅にでるリリィ。そして、旅先でオーガスタという蜂蜜を作る黒人姉妹の家に住むことになる。

黒人差別の強烈さが描かれている。白人と黒人が一緒にいるだけで、黒人は暴力をふるわれる。対等に付き合うことがありえない時代。リリィの生い立ちよりも、黒人差別の強烈さばかりが印象に残っている。差別される側の黒人たちが、凛とした態度で常に対応しているのもまた強く印象に残っている。

■ストーリー
幼い頃、自らの過ちで大好きな母を死なせてしまい、心に深い傷を負った少女リリィ。それから10年。罪の意識を背負い、乱暴で薄情な父との生活に耐えながら生きてきたリリィの胸には、いつもひとつの大きな疑問があった。「母は私を本当に愛してくれていたの?」。その答えをみつけるため、14才の誕生日を迎えた夏の日、リリィは、母の遺品に名前が記されていた町、ティブロンへと旅立つのだった――。

■感想
リリィが暴力的な父親の元を抜け出し、母親のルーツを探ろうとする。そこで黒人差別を目の当たりにする。選挙権がなく文字の読み書きができない黒人が普通の時代。黒人が白人に逆らうなんてことは許されない。リリィの不幸な状況は同情すべき部分がある。

それよりも、黒人たちの境遇のすさまじさの方が印象に残っている。オーガスタたちが、黒人にも関わらず蜂蜜を作る事業を成功させ、幸せな生活を過ごしている。外部からの強烈な差別に負けないだけの胆力がそこにある。

リリィとオーガスタたちの生活で、黒人たちがそれぞれに悩みを抱えていることがわかる。その中でひとり白人の少女であるリリィがいると、それだけで目立ってしまう。リリィが黒人の少年に恋をし、ふたりで映画を見に行く場面があるのだが…。

リリィの配慮の無さには怒りすら感じてしまう。この時代、白人少女と黒人少年がデートしていたら、否が応でも目立ってしまう。そして、有色人種専用の席でリリィが黒人少年と並んで映画を見ていたとしたら…。すべてはリリィに問題があるように思えた。

リリィを連れて帰ろうとする父親がオーガスタの家にやってくる。そこでリリィに真実が知らされることになる。リリィとオーガスタたちの生活はその後も続いていくのだろう。リリィ個人の問題は解決されてはいるが、オーガスタたちにはまだまだ問題は山積みなのだ。

黒人の少年が将来弁護士になるためにはとんでもなく高いハードルがある。そして、リリィと再会したとして、リリィと結婚するなんてことはありえないのだろう。なんだか黒人差別の強烈さに比べると、リリィの悩みがぬるいように感じてしまった。

ダコタ・ファニングは良い方向に成長している。



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