リバース 湊かなえ


 2016.9.11      自己嫌悪を感じすぎる男 【リバース】

                     

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■ヒトコト感想
平凡なサラリーマンの深瀬。美穂子という彼女ができたのだが…。「深瀬和久は人殺しだ」という告発文から学生時代の事件を思い出すことになる。今までの湊かなえの作品では女性視点での物語が多かった。本作では男のグループ内での関係や、男同士の友情について描かれている。ただ、読んでいてかなり違和感をもった。

深瀬はイケていないが、イケているグループに入ることで、グループ内で浮いていないか悩むことになる。同じような雰囲気の広沢と仲よくなるのだが…。広沢が事故死したことを自分のせいでは?と悩む深瀬。客観的に考えると事故は事故でしかない。作中では常に深瀬は後ろめたさを感じている。このあたりが、ほとんど共感できなかった。

■ストーリー

深瀬和久は平凡を絵に描いたようなサラリーマンで、趣味らしいことといえばコーヒーを飲むことだった。その縁で、越智美穂子という彼女もできてようやく自分の人生にも彩りが添えられる。と思った矢先、謎の告発文が彼女に送りつけられた。そこにはたった一行、『深瀬和久は人殺しだ』と書かれていた。深瀬を問い詰める美穂子。深瀬は懊悩する。ついに“あのこと”を話す時がきてしまったのか、と。

■感想
恋人の元に告発文が届く。そこから学生時代の事故の回想へと繋がる。深瀬はどこか必要以上に内相的な部分があり、グループ内でも自分がここにいてはいけないと思いがちとなる。イケてるイケてないというのはある。が、男同士で旅行に行くグループの中で、イケてるからどうだとか、イケてないからどうのなんてことはないだろう。

グループに入る以前ならば、なにかしらありそうだが…。深瀬が他人と比較し、自分だけが仲間外れになっていないかと気にするあたり、かなり独特な考え方をもっているように感じた。

多少他人との違いは意識するにしても、そこまで細かく、自分は誘われなかっただとか、自分はあいつと野球をしたこおとがない、なんて考えるだろうか。湊かなえが描くこの深瀬象がどうにも違和感ばかり感じてしまった。

学生時代の事故にしても、広沢が事故を起こしたことには変わりがない。そこに自己嫌悪を感じる深瀬は少し思い込みが激しすぎる。本作のメインは誰が告発文を書いたかということになる。深瀬が広沢の知り合いに話を聞くことで、広沢の知られざる部分が明らかとなってくる。

告発文を書いた人物は確かに衝撃的だ。誰もが想像しない人物だということは間違いない。広沢の過去を探り卒業アルバムには、深瀬の知るあの人物の姿があった。なんでもない事故であるはずが、周りが必要以上に深く考えることで、勝手に新たな真実が作り上げられる場合もあるだろう。

広沢の事故には隠された秘密があるのかと思いきやそうではない。根本の事故に秘密がなければ、物語全体のミステリアス感は高まらない。深瀬の独り相撲のようにすら思えてしまう。

告発文の送り主は衝撃的だが、それ以外は違和感ばかりを感じてしまった。



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