リターン・トゥ・アース 宇宙に囚われた1027日


 2016.3.27      孤独な宇宙を感じる 【リターン・トゥ・アース 宇宙に囚われた1027日】

                     
リターン・トゥ・アース 宇宙に囚われた1027日 [ ジャン=ニコラ・ヴェロー ]

■ヒトコト感想
地球は水不足となり、新たな水を求めて木星を調査するミッションを行うカナダのチーム。宇宙ステーションで千日にもおよぶ任務を実行する中で、地球で何かしら核戦争的なことが発生したと知る。となると、宇宙ステーションのメンバーは地球に帰るわけにもいかない。密閉された空間の中で、4人という少人数であっても人間関係のいざこざはある。

地球で身内の状況を心配する者。ひたすら任務遂行に邁進する者。様々な理由から、地球へ帰還用の宇宙船が無人で切り離されることになる。食料が尽きれば死ぬしかない状態。孤独な宇宙へ飛び出すのか、それとも…。全体を通して暗い雰囲気が漂っている。地球には明るい未来がないようにすら思えてしまう。

■ストーリー

そう遠くない未来。地球では水が貴重な資源となり、各国で勃発する争いの原因となっていた。人類が生き残るために世界が宇宙の資源に目を向ける中、木星の衛星エウロパに水源が眠っている可能性が浮上。エウロパへの有人飛行を実現させるため、そのシミュレーションとして「プロジェクトM」という実験が開始される…。

■感想
調査のため宇宙ステーションで長期間のミッションをこなす4人。選ばれた宇宙飛行士で、それぞれがミッションを受け持っている。カリスマ性のある指揮官の元、順調にミッションはすすんでいるかと思いきや…。地球で何事かが起こり、地球のあちこちで核爆発を発見する。

そこから、地球で核戦争が起きていることを知る。地球と連絡がとれない状況が続き、他国の宇宙ステーションとも連絡を絶つ決断をする。となると、密閉された空間で4人だけでの生活が続くことになる。

訓練された宇宙飛行士とはいえ、絶望的な状況であれば、前向きになることはできない。同僚の死や息子が大けがを負ったことを知ると、いてもたってもいられなくなり、独断専行し地球へ帰ろうとする者も存在する。

それらトラブルの中で、地球へ帰る唯一の手段である宇宙船が無人で切り離されてしまう。絶望的な状況となり、自暴自棄で宇宙へ飛び出す者も出る始末。逃げ場のない宇宙というのが恐ろしい。野菜は太陽光で栽培できるらしいが、食糧が不足するのは目に見えている。

物語に変化が訪れるのは、ロシアの宇宙船が助けを求めて到着してからだ。3人乗りのロシアの宇宙船。4人のうちだれが残るのか。たとえ地球へ帰ったとしても、地球がどうなっているかわからない。ただ、貴重な情報を地球へと持ち帰るというそれだけの使命のために、命を賭けて地球へと向かうのか。

全編とおして暗い雰囲気が漂っている。決して明るく前向きな気持ちになれる作品ではない。強烈なインパクトはないのだが、このどんよりとした雰囲気は、地球へ帰還するシーンであっても同じテンションだ。

孤独な宇宙を感じさせるにはうってつけの演出だろう。



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