レンタネコ


 2016.9.23      リヤカーに猫を積んでレンタルする 【レンタネコ】

                     


■ヒトコト感想
ほのぼのする作品と言えるのだろうか。おかしな作品であることは間違いない。心さみしい人たちに猫をレンタルする。「レンターネコー」と叫びながらリヤカーに猫を何匹も積んで河原を歩くサヨコ。さみしそうな人に猫を貸すのだが…。この一連の流れが良い。猫を貸す相手の住環境を確認し、料金を前払いで貰う。その際に必ず指を一本だけ立てる。

相手は「1万?」「10万?」と聞くがサヨコは「千円」と言う。そして、生活できるのか?という当然の問い。ここでサヨコが毎回ヘンテコなことを言う。そして、実際にその仕事をしているから面白い。猫を好きな人には悪い人はいないのだろう。猫を借りる人は、猫との別れをさみしく思う。猫が飼いたくなる作品だ。

■ストーリー
都会の一隅にある、平屋の日本家屋。幼い頃から猫に好かれていたサヨコ(市川実日子)は、たくさんの猫たちと暮らしながら、心寂しい人たちと猫を引き合わせていきます。サヨコから猫を借りるのは年齢も境遇も異なる人々。

夫と愛猫に先立たれた婦人(草村礼子)、単身赴任中の中年男(光石研)、自分の存在意義に疑問を感じるレンタカー屋の受付嬢(山田真歩)、サヨコと浅からぬ因縁を持ち、今はとある組織から追われる男(田中圭)。そして謎の老人(小林克也)の存在。彼らの心の隙間を埋める瞬間に立ち会いながら、サヨコにも次第に変化が訪れていきます。

■感想
都会で暮らすさみしい人に猫を貸す。レンタネコ屋を営むサヨコだが利益はない。突如あらわれた怪しげなレンタネコ屋から猫を借りるということはおいておくとして、猫の可愛らしさで人が和むという、そのことをメインに描いている。サヨコが猫を貸そうとする人には、さまざまな境遇の人がいる。

単身赴任中の中年男性などは、まさに猫が必要なのだろう。老女にとっても必要かもしれない。猫をレンタルし、その猫に愛着がわくと、その先では猫の別れを悲しむ場面が登場してくる。

サヨコが少し変わり者なのがポイントかもしれない。古民家に住み定職に就くわけでもない。レンタネコ屋で生計がたつはずもなく、お客から心配されるほどだ。サヨコの職業としては、デイトレーダーやCM音楽の作曲家。

そして占い師など、変わったモノを選んでいるとしか思えないラインナップだ。猫と生活するサヨコだが、結婚したいという願望があり、新婚旅行としてハワイに行くことが夢らしい。その夢を実現するために、半紙にデカデカと墨で言葉を書く。かなりの変わり者であることは確かだ。

サヨコと関わる人は、その人自身も少しずつだが変わっていく。自分の存在意義を見いだせないレンタカー屋の受付嬢など、明らかにサヨコを敵対視していたのが、最後には親友のように仲良くなってしまう。

車を借りる際のランク付けを人にまであてはめてしまう。そして、自分は何ランクだと悲しむ。サヨコはちょっと悟りを開いたようにすら見えるので、サヨコの考え方はそのまま周りに大きく影響を与えることになる。強烈なインパクトはないのだが、猫好きな人はほのぼのとした気分になれることだろう。

レンタネコというシステムはあっても良いかもしれない。



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