連合艦隊司令長官


 2015.1.7      山本五十六のすばらしさを強調 【連合艦隊司令長官 山本五十六】

                     


■ヒトコト感想

山本五十六についてはよく知らない。ただ、海軍の偉い人で名言が有名というのは印象にある。本作を見ると、多少美化されているとはいえ、良い印象しかない。アメリカとの戦争に強硬に反対し、戦争を終わらせることに心血を注いだ男。部下からは慕われ、落ち着きがあり、大局を見る目がある。軍人とは思えないほどソフトな対応と、部下思いで国民からも人気がある。

アメリカとの戦争突入間近の日本を、ドラマチックに描いている。出演者も豪華で、映像もすばらしい。戦争を美化するつもりはないが、当時の日本の一体感はすばらしいものがあったのだろう。新聞報道での虚構を交えた煽り。日本全体がどこか熱病に犯されていたような感覚かもしれない。、

■ストーリー

1939年(昭和14年)夏。「日独伊三国同盟」締結の声に日本は大きく揺れていた。それを強硬に主張する陸軍、マスコミ、そして国民。しかし海軍次官山本五十六(役所広司)、海軍大臣米内光政(柄本 明)、軍務局長井上成美(柳葉敏郎)は、その「世論」に敢然と異を唱えた。

日本がドイツと手を組めばアメリカとの戦争は避けられず、十倍の国力を持つ国と戦えば、この国は滅びる……。彼らの命を賭した反対で、三国同盟問題は立ち消えとなり、山本五十六は聯合艦隊司令長官として旗艦「長門」に着任するが、同時に欧州でドイツの快進撃が始まり、同盟締結の声は再び沸騰する。

■感想
山本五十六についてはよく知らないが、すばらしい人物だということはわかった。アメリカとの戦争には徹底的に反対し、どれだけ敵を作ったとしても自分の信念を曲げることはない。現実として戦争の結果を知っているだけに、五十六の言葉は正しいと思う。ただ、当時では異端な考え方だったのだろう。

五十六の部下たちは、皆曲者揃いだが男気あふれる行動がすばらしい。頭を丸刈りにした男たちばかりが終始画面に登場してくる。非常に暑苦しい作品だが、五十六たちの凛とした表情は、その暑苦しさを和らげる効果がある。

五十六と部下たちの関係がすばらしい。部下を信頼し任せる。部下たちは五十六の期待に応えようと必死になる。誰かがミスしたとしても、五十六はしかったりはしない。本人が一番つらいことをわかっているからだ。戦いの最中、味方の空母が撃沈されたという連絡をうけてなお、将棋を指し続ける。

並大抵の神経ではないのだろう。負けると分かっていながら戦うしかない。物語としては、常に五十六の言うとおりにしていれば勝っていたが、ちょっとした部下のミスや勘違いによりうまくいかない。現実は違うかもしれないが、五十六をこれでもかと持ち上げる展開となっている。

ラストは非常に印象深い。前線基地へ移動中に撃墜されてしまう。お決まり通り、死亡フラグ的な流れがある。五十六の優秀さを懸念したアメリカ側が、五十六のスケジュールを盗聴し暗殺したという流れだ。

指揮官として数々の戦いを経験し、負け戦も多い中でこれだけ評価されているのは、何かしら人間的魅力があってのことだろう。役所広司が五十六を好演している。何より熱い部下たちが、すべて五十六へ心酔していることが、五十六のすばらしさをより強調している。

山本五十六。有名人だが本作を見てその魅力がわかったような気がする。



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